2005 Fiscal Year Annual Research Report
生体中で安定な^<11>C含有PETトレーサー合成のための高速C-メチル化反応の開発
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17550152
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
細谷 孝充 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助教授 (60273124)
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Keywords | [^<11>C]メチル基 / Stille型カップリング反応 / PETトレーサー / アルケン / 高速メチル化反応 |
Research Abstract |
レチノイド、ビタミンK、スクワレンなどのイソプレノイド類に代表されるように、その構造内に1-メチルアルケン部分構造を持つ生物学的に重要な物質は数多く知られている。そこで我々は、これらの有機化合物への[^<11>C]メチル基の導入を目的に、ヨウ化メチルを大過剰のアルケニルトリブチルスタナンにより捕捉するStille型高速カップリング反応(5分以内で終了)を検討した。本反応は、ヨウ化メチルのフェニルトリブチルスタナンによる捕捉反応と同様に、sp^2-sp^3炭素間でのカップリング反応の範疇に入るが、当初の検討段階においてsp^2(phenyl)-sp^3炭素間高速カップリングにおける最適条件を適用しようとしても不十分であることが分かった。また、既知の触媒量のPdを用いるsp^2(alkenyl)-sp^3炭素間でのStille型カップリング反応の条件も適用できないことが判明した。その後様々な条件検討を行った結果、DMF中60℃で進行する4種類の反応条件A-Dを見出すことに成功した。それらの中で、反応条件B、CH_3I/スタナン/Pd_2(dba)_3/P(o-tolyl)_3/CuX(X=Br or Cl)/K_2CO_3(モル比:1:40:0.5:4〜6:2:5)はエントリーしたほとんど全ての基質に対して良好に働く。また、CH_3I/スタナン/Pd_2(dba)_3/P(o-tolyl)_3/CuX(X=Br,Cl, or I)/CsF(モル比:1:40:0.5:2〜4:2:5)からなる条件Dは、適用可能な基質の一般性の観点から最良の結果を示し、相当するメチル化体を90%以上の収率で与えた(ヨウ化メチルの消費に対する収率)。また、P(t-Bu)_2Meを使用した条件Cの場合では特にα,β-不飽和カルボニル基質に対してP(o-tolyl)_3の使用(条件D)よりも劣ることがわかった。なお、これらの反応条件では位置あるいは立体化学の異性化は全く起こらない。本高速メチル化反応の有用性は反応条件D(2ポット法を適用)を用いて、実際の[^<11>C]メチル基含有化合物を合成することにより実証された。今後、本研究により確立された反応条件をもとに、1-[^<11>C]メチルアルケン構造を有する代謝安定な創薬・診断PETトレーサーの創製が期待される。
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Research Products
(4 results)