2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17550153
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡村 恵美子 京都大学, 化学研究所, 助手 (00160705)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中原 勝 京都大学, 化学研究所, 教授 (20025480)
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Keywords | コレステロール / 脂質ラフト / 動態 / 高感度高分解能NMR / 自己組織化 / 生物物理 / 拡散係数 |
Research Abstract |
本年度は、生体膜中に浮かぶ機能性のドメイン「脂質ラフト」の主要な成分であり、ラフトの機能の制御に重要な役割を担うとされる「コレステロール」の構造と動態を、高感度高分解能NMRを用いて明らかにすることを目的として、研究に着手した。まず、生体膜の疎水性のコア部分に位置するとされるコレステロールの膜内環境を疎水性の有機溶媒を用いて模倣し、有機溶媒中におけるコレステロールの構造を、パルス磁場勾配スピンエコーNMRによる自己拡散係数の直接決定、スピン-格子緩和時間の測定、ならびに2次元NMRにより解析した。特に、機能性のドメイン構造との関係から、コレステロールの会合挙動に着目した。もしコレステロールが有機溶媒中で会合すれば、分子運動が制限され、その結果、拡散係数は小さくなる。1-オクタノールとクロロホルム中でコレステロールの自己拡散係数を測定すると、1-オクタノール中では濃度によらず拡散係数の値がほぼ一定であるのに対して、クロロホルム中では高濃度において拡散係数の値が減少し、コレステロールがクロロホルム中で自己会合していることが示唆された。さらに、スピン-格子緩和時間と2次元NMR(COSY,NOESY)測定から会合構造を決定した。その結果、クロロホルム中でコレステロールはOH基どうしが水素結合を介して自己会合するが、1-オクタノール中では溶媒との水素結合によりコレステロールの自己会合がおこらないことを明らかにした。 さらに、細胞やリン脂質二分子膜中においてコレステロールの動態の解析を行うための予備的検討を行った。
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Research Products
(2 results)