2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヘム・CBSドメインがタンパク質機能を制御する仕組みの解明
Project/Area Number |
17550156
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
小崎 紳一 山口大学, 農学部, 助教授 (40280581)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
右田 たい子 山口大学, 農学部, 教授 (90159161)
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Keywords | ヘム / ビタミンB6 / シスタチオニン |
Research Abstract |
シスタチオニンβシンターゼはヒトやネズミの肝臓・脳に存在し、セリンとホモシステインからシスタチオニンを合成する酵素である。活性中心にはビタミンB6が存在し触媒機能に直接関与しているが、本酵素が有するもう一つの補次分子であるヘムの役割については未だ不明である。本年は、ヘムの配位状態と酵素活性との間に相関があるかどうかを検証するためにいくつかの実験を試みた。その結果、pHを酸(4.5以下)あるいはアルカリ(12以上)にするとヘムの配位状態(天然型酵素は中性領域ではCys-51とHis-65が配位子で6配位状態)が変化することを吸収スペクトルの変化を測定することで見いだした。さらに、ストップトフローを用いて経時変化を追跡したところ、この配位状態の変化には少なくとも2つ以上のステップが含まれていることがわかった。ESRの結果なども踏まえて、現時点では、pH4.5以下の酸性型はヘム鉄に水のみが配位した状態、pH12以上のアルカリ型は中性領域の場合と同様、ヘム鉄に対して窒素と硫黄原子が配位しているが、配位しているアミノ酸残基が異なるのではないかと考えている。CDを測定したところ、アルカリ型、中性型、酸性型ともに大きな違いはなく、ヘリックス含有率も大差なかったので、ヘム近傍の局所的な構造変化が起こっていると推測される。アルカリ型は溶液のpHを中性に戻しても中性型には戻らない。酸性型は溶液のpHを中性に戻すとアルカリ型に変化する。そこで、このアルカリ型の酵素活性を測定したところ、中性型のおよそ25%程度にまで活性が低下していた。これらの結果は、ヘムの配位構造の変化が酵素活性と相関することを示しており、ヘムが本酵素の活性制御に関与する可能性を示唆しているものと思われる。詳細も含めて投稿準備中である。
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