2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヘム・CBSドメインがタンパク質機能を制御する仕組みの解明
Project/Area Number |
17550156
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
小崎 紳一 Yamaguchi University, 農学部, 准教授 (40280581)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
右田 たい子 山口大学, 農学部, 教授 (90159161)
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Keywords | ヘム / ビタミンB6 |
Research Abstract |
ヒト由来のcystathionineβ-synthase(CBS)は、セリンとホモシステインからシスタチオニンを合成する酵素で、ヒトやネズミの肝臓、脳に存在する。硫黄を含む化合物の代謝経路において、ホモシステインはメチオニン生合成とシスタチオニンを経由するグルタチオン生合成経路の分岐点に存在し、CBSは両者のバランスを取る上で重要な酵素である。実際、遺伝的欠陥などによりCBSの機能が低下するとホモシステイン濃度が上昇し、知的障害、心疾患などの危険因子になることが知られている。CBSは、「触媒機能に必要なビタミンB6以外にヘムを持つ点」「C-末端にS-アデノシルメチオニンと結合し、活性の制御を行うCBSドメインを持つ点」において構造的にユニークであり、申請者は、CBSの機能と構造相関について考察するために、申請者は平成19年度において以下の結果を得た。 (1)pHをアルカリ側に変動させるとCBSのヘム由来の最大吸収の位置が428nmから422nmへと移動した。ESR解析などの結果から、この状態(CBS422)は野生型同様、CysとHisを軸配位子として持つ低スピン状態であるが、異方性が大きいことからヘム鉄がポルフリン平面からずれていることがわかった。また、CBS422の活性は野生型の約半分であった。このことから、ヘムの配位構造の変化が活性に影響を与えることが明確になった。さらに、結晶構造の考察により、ヘムの配位構造変化を活性中心にあるPLPへと伝達する上でArg-266が重要であるのではないかという仮説を立てた。 (2)上記の仮説に基づいてArg-266をAla、His、Gluへと変換した変異体を作成し、特性解析を行ったところ、活性の低下、ヘムの含有量の低下、ヘム鉄のスピン状態の変化が観測された。上記の仮説の妥当性を示すものであり、詳細を調査中である。
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Research Products
(2 results)