2005 Fiscal Year Annual Research Report
ガンマ線検出のためのアモルファスカラーフォーマーの合成と機能評価
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17550164
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
太刀川 達也 埼玉大学, 工学部, 講師 (20251142)
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Keywords | 可視化 / 合成化学 / 放射線、X線、粒子線 |
Research Abstract |
本年度は、アモルファス性を有するカラーフォーマーの合成方法を確立し、合成されたカラーフォーマーへの予備的なγ線照射実験を実現できた。以下に具体的な成果を示す。 1.アモルファス性カラーフォーマーのアモルファス性を担う部分となる4-ベンズヒドリルフェノールの合成を試みた。塩化亜鉛触媒下、ニトロメタン中、フェノールとベンズヒドロールを反応させ、目的物である4-ベンズヒドリルフェノールを得た。しかし、目的物のほかに、ベンズヒドロールが2分子置換した2,4-ジベンズヒドリルフェノールの生成が確認された。そこで、反応時間や原料のモル比を変化させて反応の改善を試み、4-ベンズヒドリルフェノールと2,4-ジベンズヒドリルフェノールをそれぞれ得ることができた。 2.4-ベンズヒドリルフェノールの精製が困難であったため、フェノールの換わりに2,6-ジメチルフェノールを用いて上記の合成を行い、2,6-ジメチル-4-ベンズヒドリルフェノールを純度良く得ることができた。 3.2,6-ジメチル-4-ベンズヒドリルフェノールにトリホスゲンを作用させ、2,6-ジメチル-4-ベンズヒドリルフェニルクロロホルメートを合成し、アルゴン雰囲気下、亜二チオン酸ナトリウムを用いて青色色素Basic Blue 3を還元した溶液に、滴下することにより、新規カラーフォーマーを合成した。 4.得られたカラーフォーマーの濃度0.25mMの蒸留アセトニトリル溶液に、^<60>Coを線源としてガンマ線を照射することにより、溶液の発色を確認した。新規カラーフォーマー溶液は、γ線照射線量の増加に伴い、644nmでの吸光度を線形的に増加させ、γ線照射により色素体が生成していることが確かめられた。しかしながら、従来の類似化合物と比較すると発色感度が低いことから、この新規カラーフォーマーは、ベンズヒドリルフェニル部位のメチンプロトンが引き抜かれるなどの保護基の開裂を阻害する反応が起きていると考察している。
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Research Products
(2 results)