2006 Fiscal Year Annual Research Report
ガンマ線検出のためのアモルファスカラーフォーマーの合成と機能評価
Project/Area Number |
17550164
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
太刀川 達也 埼玉大学, 理工学研究科, 講師 (20251142)
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Keywords | 可視化 / 合成化学 / 放射線、X線、粒子線 |
Research Abstract |
本年度は、研究目的に示したカラーフォーマーの合成を行い、合成したカラーフォーマーが目的どおりにアモルファス性を示すことを明らかにした。そして、作成したアモルファスカラーフォーマー材料がy線照射により青色に発色することを示すことができた。以下に具体的な成果を示す。 1.室温、常圧下、相当するフェノール類とトリホスゲンを反応させることで、新規クロロギ酸エステル類を合成した。次いで、青色色素を室温、アルゴン雰囲気下、アルカリ性条件下において亜ニチオン酸ナトリウムを用いて還元して生じた無色の中間体にクロロギ酸エステル類を作用させることで、新規カラーフォーマーを合成した。 2.溶液でのγ線照射実験では、溶液中に溶解させたカラーフォーマーが、無色から青色へ変化する様子を目視により確認でき、644nmにおける発色体の吸光度は照射線量に対して線形的に増加すること、この系では最もγ線に対して感度が高いことを明らかにした。 3.乳鉢を用いて粉末状態にしたカラーフォーマーを融点温度(204-205(C)まで加熱し、カラーフォーマーを融解させ、次いで急冷させることにより、アモルファスフィルムの作成を行った。このフィルムがアモルファスであることを、示差走査熱量分析装置を用いたガラス転移点測定(78.2℃)、およびX線による回折線の解析から確認した。 4.このアモルファス性フィルムを用いた固相系におけるγ線照射実験により、液相系と同様に644nmでの吸光度が増加し、100Gy程度の照射線量から青色に発色していることが確認できた。青色に変化しているのはフィルムの表面のみで、深部までは発色していないことがわかった。 5.結論としてアモルファス性カラーフォーマーは、ポリマーへ分散させることなく、フィルム状となるため、より簡便なy線検出材料として利用できることを明らかにした。
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