2006 Fiscal Year Annual Research Report
液晶エラストマーを用いた熱-力学変換デバイスに関する基礎的研究
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17550169
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Research Institution | Tokyo Polytechnic University |
Principal Investigator |
平岡 一幸 東京工芸大学, 工学部, 教授 (50267530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野瀬 卓平 東京工芸大学, 工学部, 講師 (20016405)
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Keywords | 液晶 / 人工筋肉 / 結晶工学 / 高分子構造・物性 / 化学物理 |
Research Abstract |
ポリマーネットワークの力学的性質と液晶相の異方性を併せ持つ新しい材料である液晶エラストマーを取り上げ、液晶相の対称性を反映した自発的かつ可逆的な変形機能を持つエラストマー材料の研究を行っている。18年度は17年度に得られたモノドメインSmCエラストマーの変形挙動の詳細を検討した。またクロスリンカーや高分子の化学構造と液晶エラストマーの力学的性質との関係を検討するため、異なるクロスリンカーを用いた液晶エラストマーの変形挙動、さらに液晶と高分子の異方性が直接カップリングした主鎖型高分子液晶エラストマーにおける秩序形成の検討を行った。主な結果は次の通り。 (1)モノドメインSmCエラストマーにおける可逆的自発変形;17年度に得られた単結晶(モノドメイン)SmCエラストマー試料を用い、18年度はそのフイルム状試料の可逆的・自発的な形状変化を定量的に評価すると同時に、X線回折により局所的な配向状態(層法線とメソゲンの成す角など)の温度依存性をまとめ、両者の比較からミクロな分子配列変化がマクロな試料形状変化とほぼ正確に対応することを示した。 (2)クロスリンカーの配向状態・変形挙動への影響;2種類のクロスリンカー(メソゲン型クロスリンカーとハイドロキノン型クロスリンカー)を用い、一軸応力下の架橋反応により配向SmCエラストマーを得た。SmA-SmC相転移において、堅固な構造を持つメソゲン型クロスリンカーではダイレクターは変化せず(応力方向に配向)層が傾くが、より柔軟性のあるハイドロキノン型クロスリンカーにおいては層法線は変化せずメソゲンが傾いた。これら2種の液晶エラストマーとも、等方相を含む逐次相転移における自発的・可逆的な変形機能(伸縮)を確認した。メソゲン型クロスリンカーを用いた液晶エラストマーの場合、SmC相の温度域において層の再配列にも関わらずほとんど伸縮は観測されなかった。一方、ハイドロキノン型クロスリンカーを用いた液晶エラストマーの場合、メソゲンの傾きに応じて層間隔が増減すると伴に、液晶エラストマーフイルムの長さも伸縮することを確認した。 (3)主鎖型高分子液晶ならびにエラストマーにおける秩序形成の予備的検討;強誘電相(SmC*相)を有する主鎖型高分子液晶(ポリエステル)を用い、電気光学応答などから集団的揺らぎを観測した。SmA-SmC*相転移近傍にてソフトモード(メソゲンの傾き)を、SmC*相においてはゴールドストーンモードを確認した。さらに主鎖型高分子液晶を用いた液晶性ポリマーネットワークの予備的な合成に成功した。
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Research Products
(4 results)