2006 Fiscal Year Annual Research Report
アモルファス分子材料を用いるエネルギー変換素子に関する研究
Project/Area Number |
17550170
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Research Institution | Fukui University of Technology |
Principal Investigator |
城田 靖彦 福井工業大学, 工学部, 教授 (90029091)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
砂川 武義 福井工業大学, 工学部, 準教授 (60329456)
原 道寛 福井工業大学, 工学部, 講師 (80362630)
梅田 孝男 福井工業大学, 工学部, 実習助手 (00440537)
中野 英之 大阪大学, 大学院工学研究科, 講師 (00222167)
景山 弘 大阪大学, 大学院工学研究科, 講師 (50294038)
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Keywords | アモルファス分子材料 / エネルギー変換 / 有機光電変換素子 / pn-ヘテロ接合素子 / 有機EL素子 / フォトクロミズム / 光有機表面レリーフ形成 / 側鎖型高分子 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、1)有機光電変換素子、2)有機Et素子、および3)フォトクロミックアモルファス分子材料の創製と光誘起表面レリーフ回折格子形成への応用について研究を行った。 1)有機光電変換素子に関する研究:チタニルフタロシアニン(TiOPc)(p-型有機半導体)とペリレン顔料(Pe)(n-型有機半導体)を用いるpn-ヘテロ接合型光電変換素子について、銅フタロシアニン(CuPc)を用いる素子と比較検討するとともに、開回路光起電力(Voc)を増大させる手法について検討した。TiOPcとCuPcを比較すると、TiOPcを用いる素子は、CuPcを用いる素子に比べてフィルファクターが小さく、このことが、TiOPcを用いる素子の変換効率が低いことの主要因であることを明らかにした。Vocの向上を目指して、TiOPc層の上にイオン化ポテンシャルの低い1,3,5-トリス[2-ナフチル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン(2-TNATA)の薄膜を積層した素子を設計・作製し、Vocが増大することを見出した。これは、TiOPcが、ペリレン顔料に対してはp-型、2-TNATAに対してはn-型として働いていることに基づく。また、新しいタンデム型素子を作製し、Vocが約2倍になることを明らかにした。 2)有機EL素子に関する研究:有機EL素子の高性能化ならびに省エネルギー化の観点から、駆動電圧の低減化が重要な課題となっている。駆動電圧の低減化ならびにジュール熱による素子の発熱抑制の観点から、導電性アモルファス分子材料を用いる有機EL素子の作製と性能評価に関する研究を行った。正孔注入層としてヨウ素をドープした1,3,5-トリス[3-メチルフェニル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン(m-MTDATA)、正孔輸送層として4,4'-ビス(3メチルフェニルアミノ)ピフェニル(TPD)、電子輸送性発光層としてトリス(8-キノリノラート)アルミニウム(Alq3)を用いた素子は、未ドープのm-MTDATAを用いた素子に比べて、駆動電圧が著しく低下することが見出された。また、発光の外部量子収率もヨウ素ドープによって向上することが見出された。本研究結果は、正孔注入層へのドーピングにより、陽極からの正孔注入特性のみならず陰極から有機層への電子注入特性を向上させることが可能であることを示しており、正孔注入材料へのドーピングが、注入される正孔と電子のバランスを向上させるための新しい方法論となることを示している。その他、有機EL素子におけるエキシプレックス発光の出現とその防止法ならびに青色発光について検討した。また、有機EL素子用材料として、新しい側鎖型高分子を設計・合成し、性能を評価した。 3)フォトクロミックアモルファス分子材料の創製と光誘起表面レリーフ回折格子(SRG)形成への応用:アゾベンゼン系フォトクロミックアモルファス分子材料の分子構造とSRG形成について重要な知見を得るとともに、薄膜作製法がcis-trans熱異性化反応に顕著な影響を及ぼすことを見出し、自由体積の大小に基づくことを考察した。
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Research Products
(5 results)