2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17550171
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Research Institution | Kanagawa Academy of Science and Technology |
Principal Investigator |
古林 寛 (財)神奈川科学技術アカデミー, ナノ光磁気デバイスプロジェクト, 研究員 (70392925)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一杉 太郎 東京大学, 理学系研究科, 助手 (90372416)
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Keywords | 二酸化チタン / 薄膜材料 / 光学特性 / 輸送特性 / p型 / 発光素子 |
Research Abstract |
1 透明伝導体アナターゼTi_<1-x>Nb_xO_2の輸送特性の解明 ・Ti_<1-x>Nb_xO_2エピタキシャル薄膜において、光学伝導度からキャリアの有効質量を求め、その結果とHall移動度測定結果より、キャリア散乱機構の解明を行った。 ・可視〜赤外領域における光学伝導度の周波数依存性は、Drudeモデルにおける結果とほぼ一致しており、Ti_<1-x>Nb_xO_2はほぼ古典的な金属状態であることが分かった。また、キャリア有効質量は、低キャリア濃度(<5x10^<20>cm^3)では〜0.4maであり、キャリア濃度増加と共に急激に上昇することが分かった。 ・キャリアの散乱機構は、室温では概ね光学フォノンによる効果が大きいことが分かった。一方、その他の散乱要因に関しては、Nb置換量xに強く依存することが分かった。低Nb量(X<0.01)では粒界散乱が、高Nb量(X>0.1)では不純物散乱が、それぞれ卓越していることが確かめられた。一方、アナターゼTiO_2の誘電率が非常に高いことから、通常の透明伝導体で問題となっているイオン化不純物散乱による効果が抑えられており、高キャリア濃度においても高移動度を実現出来ていることが考えられる。 2 アナターゼTi_<0.97-y>Nb_<0.03>Si_yO_2の光学・輸送特性 ・透明伝導体Ti_<1-x>Nb_xO_2を発光素子等へ応用するためには、界面及び表面反射による損失を抑えるため、透明伝導体自身の屈折率を制御できることが望ましい。様々な元素置換を試みたところ、14族元素(Si等)が効率良く屈折率を下げることが分かった。 ・X線回折結果より、Si置換量y<0.1までアナターゼ単相が得られることを見出した。可視光における屈折率に関しては、y=0.07試料はy=0と比較して0.15〜0.2ほどの減少が見られた。一方、輸送現象に関しては、Si原子が中性不純物として働くため、yの増加と共に単調増加した。しかしながら、Si置換後もキャリア濃度は保持され、室温の抵抗率もy=0.07までは10^<-3>Ωcm未満であるため、実用に関しては大きな問題は生じないと思われる。 2 強還元TiO_<2-X>の輸送特性 ・水素分圧1x10^<-5> Torr下で作成した強還元TiO2-x薄膜がγ-Ti_3O_5であることを、X線二次元走査によって明らかにした。またHall係数が再現性良く正の符号を示す一方、異常Hall効果が見られないことから、Hall効果結果が磁性不純物によるものではないことを確かめた。また、電子状態に関してはほぼ縮退一歩手前の真性半導体であり、正のHall係数は正孔移動度の高さに起因するものであることを考察した。
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Research Products
(2 results)