2005 Fiscal Year Annual Research Report
三次元マイクロチャンネル構造を誘起する錯体超分子を利用した多次元的界面構築
Project/Area Number |
17550180
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
野村 良紀 大阪工業大学, 工学部, 教授 (00156233)
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Keywords | ニッケル錯体 / ジチオカーバマート錯体 / アミノ酸エステル / シリコン単結晶表面 / 水素終端化シリコン |
Research Abstract |
幅広い固体材料表面を修飾するために利用できる錯体超分子構造の最適化を行った。例えば、ニッケル(II)ジチオカーバマート錯体において,ジチオカーバマート配位子中にω-アミノ酸エステル部位を導入することによって,水素結合形成による超分子構造が誘導できることを明らかにした。とくに,α-アミノ酸であるグリシンやプロリンあるいは1-メトキシカルボニルシクロヘキシルアミンなどを部分構造とする場合には,超分子化によって三元マイクロチャンネルを形成することを明らかにした。さらに,これらの錯体が1,4-ジオキサンあるいは4,4'-ビピリジンのような水素アクセプターを水素結合形成によって特異的に包摂できることを明らかとした。以上の結果から,当初の目標である三次元マイクロチャンネル構造を導き出すための錯体の構造要因について,大幅に理解を進めることができた。さらに,錯体の固体構造に関して,C2対称性を保った折れ曲がり構造をとる場合に,分子認識と見ることができる特異的包接現象を発現することを見いだすことができた。 これらの錯体を用いて,シリコン単結晶表面の修飾を以下の2通りの方向から検討した。すなわち,1)表面上のキンクなどを利用した結晶成長,および2)Si-C結合を利用した表面への錯体の固定である。これらの内,キンクなどを利用した結晶成長では,特異的な結晶成長を認めることはできなかったため,この方向での検討は断念した。一方,Si-C結合形成による方法に関しては,表面を水素終端化したシリコン単結晶と末端にC=Cを導入したニッケル(II)ジチオカーバマート錯体との反応によって,当該錯体をシリコン表面上に固定できることを明らかとし,次年度以降の検討課題とするに至っている。
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