2006 Fiscal Year Annual Research Report
高分子半導体/ナノポーラス酸化チタン界面での高分子鎖の立体構造規制と光電変換特性
Project/Area Number |
17550183
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
渡辺 明 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教授 (40182901)
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Keywords | 高分子半導体 / ナノポーラス / 酸化チタン / 光電変換 / ナノ界面 |
Research Abstract |
ナノ細孔構造を有する無機半導体(TiO_2系)薄膜と高分子半導体薄膜とのヘテロ接合型素子における光電変換素子の特性向上のためには、ナノポーラス細孔内における高分子鎖の立体構造および電子状態の解明が不可欠である。本研究では、ナノポーラス細孔に吸着した高分子鎖の電子状態の検討を分光学的な手法によって行った。主鎖共役型のσ共役型高分子であるポリ(ジ-n-ヘキシルシラン)においては,主鎖コンフォメーションよってσ共役系電子の重なりが変化し、その電子状態の変化が顕著に現れてくる。ポリ(ジ-n-ヘキシルシラン)の発光スペクトルにおいては、主鎖コンフォメーションが規則的なトランス構造にある場合とランダム構造にある場合とで、顕著な発光スペクトルのピークシフトが観測される。このような特性を有するポリ(ジ-n-ヘキシルシラン)をTiO2系やメソポーラスシリカ系の無機化合物のナノ細孔に吸着しさせ、ナノ細孔の特異的な吸着場が高分子鎖のコンフォメーションおよび電子状態に与える影響を検討した。ポリ(ジ-n-ヘキシルシラン)のバルク薄膜資料とナノ細孔吸着試料の発光スペクトルおよびその温度変化測定においては、規則構造およびランダム構造からの発光強度の比の違いが観測された。ナノ細孔吸着試料においては、長波長の規則構造に比べて短波長のランダム構造からの発光の割合が増加した。さらに、分岐構造のポリシランにおいて観測されているような非常にブロードな発光スペクトルが長波長側に観測された。このような発光スペクトルの変化は、ナノ細孔内に吸着した規則構造を有するSi-Si鎖とナノ細孔表面に存在する屈曲したランダム構造を有するSi-Siさからの発光を考えることによって説明された。このような発光スペクトルにおいては、ポリ(ジ-n-ヘキシルシラン)をナノ吸着へ吸着させる条件の影響が観測され、それによる電子状態の制御の可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)