2006 Fiscal Year Annual Research Report
環境制御NMR法による高分子の結晶化機構に関する研究
Project/Area Number |
17550184
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
山延 健 群馬大学, 工学部, 助教授 (40183983)
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Keywords | 高分子構造・物性 / 結晶化 / NMR / 環境制御型 |
Research Abstract |
環境制御NMR法による高分子の結晶化機構に関する研究を行うために本年度は下記のような結果を得た。 1.高感度プローブの開発 昨年度設計開発したプローブは5mm径の試料管に対する高感度プローブであった。このプローブを用いることにより温度という環境制御は可能となった。本年度は温度だけでなく延伸にという外部応力を変化させることの出来るシステムの開発を行った。NMR測定は高感度であり、磁性体が磁場近傍に来ることはさけなければならない。延伸を行うためには外部から応力を加える必要がある。これを行うためにNMR装置にセットすることの出来る延伸装置を開発した。これにより、延伸倍率、延伸速度を変えながらNMR測定をリアルタイムに行うことが出来るようになった。 2.高感度プローブのポリプロピレンの溶融過程、結晶化過程への応用 高感度プローブを用いて、ポリプロピレンの重合パウダーの溶融過程の検討を行った。重合パウダーでは非晶部の運動性は溶融結晶化した試料と同様の運動性の温度依存性を示した。これに対して、結晶部は溶融結晶化物に比べて低温から運動性の上昇が観測された。固体高分解能NMR測定を行った結果、室温ではピーク強度にあまり変化はないが、100℃で重合パウダーの結晶のピークが極端に弱くなっていることが明らかになった。DSCでも重合パウダーは低温から溶融が明らかになった。TEM観察を行うと重合パウダーでは結晶部、特にラメラがほとんど観察されず微結晶であることがわかった。これらのことからポリプロピレンの重合パウダーにおいては結晶部のサイズがかなり小さく、温度上昇に伴う非晶部の運動の活性化により結晶が影響を受け、溶融結晶化物などより低温で融解することが明らかになった。
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Research Products
(3 results)