2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17550185
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
西 敏夫 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 教授 (70134484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中嶋 健 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助手 (90301770)
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Keywords | 原子間力顕微鏡 / ナノレオロジー / ナノトライボロジー / エラストマー / ナノコンポジット / 弾性率マッピング / 凝着エネルギーマッピング / カーボンナノチューブ |
Research Abstract |
本研究では原子間力顕微鏡をもとにしたナノレオロジー・ナノトライボロジー測定を現実的な系に応用する初めての試みとして、高分子工業において最近注目を集めているエラストマー試料およびエラストマーをマトリックスにしたナノコンポジット材料に適用することを目的として研究を推進した。前年度は予備的実験としてカーボンブラックを配合した天然ゴム試料について弾性率マッピングを実現し、界面の力学物性を評価することを可能にしたが、今年度は真のナノコンポジット材料としてカーボンナノチューブをフィラーとして充填した天然ゴムを扱った。予備的に行ったフォースモジュレーション法という特殊な、しかしながら市販の装置で行える方法で測定した場合には、試料中にカーボンナノチューブ由来の網目構造が存在していることが分かっていた。興味深いのはその太さがカーボンナノチューブのそれよりもだいぶ太く、カーボンナノチューブそのものが画像化されているとは考えにくいところであった。一時的に界面相を含む相が観察されたのだと推測したが、その部分の定性的な硬さがマトリックスよりも軟らかいという結果が界面に対する従来の考え方と矛盾していた。しかし、本研究で開発した弾性率マッピング、および今年度実装した凝着エネルギーマッピングによってこの問題点を解決することができた。界面相は、弾性率は予想通り高く、しかしながら凝着エネルギーも大きいという結果が得られたのである。フォースモジュレーション法による一見矛盾した結果はこの凝着エネルギーの大きさに影響を受けたものだと結論付けられた。またこの結果から、界面にはカーボンナノチューブに強く結合しバウンドラバーとして作用している高分子鎖に加え、末端が遊んでいるダングリング鎖が存在することが示唆された。このナノコンポジット材料の特異な力学物性はこの界面構造に由来しているのだろう。本件については現在論文投稿準備中である。
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Research Products
(5 results)