2006 Fiscal Year Annual Research Report
超強力繊維の新規メッキ法の開発と導電性ワイヤーへの応用
Project/Area Number |
17550188
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
堀 照夫 福井大学, 大学院工学研究科, 教授 (90092832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久田 研次 福井大学, 大学院工学研究科, 助教授 (60283165)
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Keywords | 超臨界二酸化炭素 / 金属錯体 / 注入 / アラミド繊維 / 無電解メッキ / 電線 |
Research Abstract |
超臨界二酸化炭素流体を媒体とする繊維の染色について研究する中で、染料の繊維内への注入・固定の原理を利用することで、高分子の無電解メッキの前処理法として有機金属錯体が注入できることを見出した。超臨界流体中で高分子(繊維を含む)が膨潤して可塑化される一方、超臨界二酸化炭素流体に溶解した金属錯体が容易に高分子(繊維)内部に注入・固定化されることを利用するものである。この後、熱または還元剤を用いて錯体を高分子内で還元させ、金属を析出させる。この工程により高分子(繊維)表面および内部には金属クラスターが生成し、これを核として利用することで無電解メッキができる。このため金属錯体には高分子に対して適当な親和性が要求される。選択された金属錯体の超臨界二酸化炭素流体に対するおおよその溶解度や親和性(分配係数)を見積もった。 選択された金属錯体を用い超臨界二酸化炭素流体中で各種高分子に対する注入を行った。ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ナイロン6など各種高分子(繊維)のメッキが容易にできることを見出した。また、高結晶性、高配向性で、ガラス転移温度も非常に高いアラミド繊維やPBO繊維もこの方法でメッキできることを見出した。 このような高性能繊維は金属より遥かに軽量で、高強度を有し、柔軟性に富むため、次世代の電線の代替品としての利用が期待できる。そこで、次にめっき繊維の電位抵抗値を下げる工夫、メッキの密着強度を上げる工夫を行った。その結果、アラミド繊維のメッキについて以下のようなことが明らかとなった。 1)錯体としてはジアセチルアセテネートパラジウムなど数種のものが有効である。 2)注入条件は15MPa、150℃、30分が最適である。 3)メッキの接着強度向上のためチオール系化合物による前処理や酸素プラズマなどによる表面処理が有効である。 4)メッキ後の電気抵抗は0.01Ω/cm程度が限界であり、これ以下の抵抗を得たい場合はその後さらに電気メッキを施すと良いが、柔軟性が大きく損なわれる。 その他にメッキしたアラミド繊維を塩ビやポリプロピレンで被覆する場合、スムースな表面を得るためには、繊維に含まれる水分を十分除去することが重要であることを見出した。
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