2005 Fiscal Year Annual Research Report
バイオミネラリゼーションによるアパタイトとの高性能複合化をめざす高分子の表面設計
Project/Area Number |
17550191
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
箕田 雅彦 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (30229786)
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Keywords | 骨類似アパタイト / 有機高分子 / 高分子-アパタイトハイブリッド / バイオミネラリゼーション / ゾルーゲル反応 / キチン粒状ゲル / カルシウムシリケート / チタニア |
Research Abstract |
1.表面修飾した高分子材料を、温和な条件下(pH=7.40、36.5℃)で擬似体液(SBF)中へ浸漬するバイオミネラリゼーションの手法により、キチン/アパタイト粒状ハイブリッドを創製することを検討した。多孔性の市販キチン粒状ゲル[富士紡績(株)製、キトパール【○!R】BL-01]をSi(OEt)_4(TEOS)を含むカルシウムシリケート溶液で処理、乾燥することでカルシウムシリケート化試料としたのち、SBFへの3日間の浸漬により、試料表面に骨類似アパタイトが形成した。生成ハイブリッドの表面無機層のシワ状構造や一部剥離を抑制するために、CH_3Si(OEt)_3を共存させてカルシウムシリケート化を行い同様にSBFに浸漬した結果、より均質な表面アパタイト層からなる粒状ハイブリッドを作製することができた。さらに、得られた粒状ハイブリッドのリゾチームによる酵素分解性についても予備的検討を行った。 2.ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)など汎用有機高分子材料とアパタイトとのバイオミネラリゼーションによるハイブリッド化について検討した。表面を粗面化した有機高分子基板に、Ti(OiPr)_4を用いたゾルーゲル法によってチタニアコーティングを行った。次いで、同試料を3時間、沸騰水中で保持してチタニア層のアナタース型への変換を行ったのちSBFへ3日間浸漬することにより、目的の有機高分子-アパタイトハイブリッドが得られた。チタニア層の結晶構造変換を行うために、既報の希塩酸加熱処理法の代替としてより穏和な熱水処理法が有効であることを明らかしたが、同手法を用いることで、アパタイトとのハイブリッド化に供する高分子基板の表面化学修飾法を幅広く適用することが可能となり、ハイブリッドの力学的特性の向上に繋がるものと期待される。
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