2005 Fiscal Year Annual Research Report
プロトン伝導性ポリイミド膜の開発と固体高分子形燃料電池への応用
Project/Area Number |
17550193
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
岡本 健一 山口大学, 工学部, 教授(特命) (20029218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 一宏 山口大学, 工学部, 助教授 (30188289)
尹 燕 山口大学, ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー, 非常勤研究員 (50379939)
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Keywords | スルホン化ポリイミド / プロトン伝導性 / 直接メタノール形燃料電池 / メタノールクロスオーバ / ナフィオン膜 |
Research Abstract |
酸二無水物として1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTDA)を、スルホン酸ジアミンとして4,4'-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニルー3,3'-ジスルホン酸(BAPBDS)、ビス(3-スルホプロポキシ)ベンジジン(BSPB)及びビス(4-スルホフェノキシ)ベンジジン(BSPOB)を、そして非スルホン酸ジアミンとして4,4'-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)を用い、共重合スルホン化ポリイミド(SPI)を合成した。SPI膜を130℃の加圧水に浸漬し、膜の重量損失、硫黄溶出率、膜の機械的強度、そしてプロトン伝導度の変化を調べ、又、浸漬水を分析し分解生成物を調べ、膜の耐水性を評価した。膜は始めの24h以内に、分子量低下が低下し、膜の引っ張り試験で破断伸びが大きく低下した。しかしその後は、ほとんど低下せず、200〜300h後でも、破断応力40MPa以上を示し、膜を折り曲げても割れることは無く、十分な機械的強度を保持した。BSPB系SPI膜ではスルホアルコキシ基が分解脱離するため、プロトン伝導度が特に低湿度下で顕著に減少した。BAPBDS系とBSPOB系のSPI膜はプロトン伝導度の低下も見られなかった。3官能のトリアミンTAPBを用いた分岐架橋膜及びスルホン基を介して架橋させた膜はさらに優れた高温耐水性を示した。 これらのSPI膜とナフィオンをイオノマーとする触媒電極を用い、膜電極接合体を作製し、単セルを用いて直接メタノール形燃料電池(DMFC)発電性能を評価した。また、カソード側の出口ガス中のメタノールと二酸化炭素をガスクロ分析し、メタノールクロスオーバを求めた。セル温度60℃でカソードに酸素を100ml/min供給したときのDMFC発電性能を比較した。ナフィオン112膜は、5wt%の低メタノール濃度ではSPI膜より少し高い最大出力(W_<max>)137mW/cm^2を示したが、メタノール濃度の増加と共に性能が急激に低下し、30wt%では30mW/cm^2とSPI膜の1/3に低下し、50wt%では、発電できなかった。一方、SPI膜は50wt%メタノールでも、70mW/cm^2の比較的高い出力を示した。酸素に替えて空気を供給すると、DMFC発電性能は低下した。SPI膜に比べて、ナフィオン膜での性能低下が大きかった。30wt%メタノールで空気供給の場合、ナフィオン膜では発電できなかったが、SPI膜では、50〜70mW/cm^2の最大出力が得られた。ナフィオン膜では、負荷電流の増加と共に、メタノールクロスオーバと水透過量流速が大きく増加するのに対して、SPI膜では両者ともほとんど変化しなかった。このことが、DMFC発電性能の違いを生じていることが分かった。
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Research Products
(4 results)