2005 Fiscal Year Annual Research Report
超強力な超伝導バルク磁石の実現と磁束ダイナミックスの解明
Project/Area Number |
17560001
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
藤代 博之 岩手大学, 工学部, 教授 (90199315)
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Keywords | 超伝導応用 / 低温物性 / 結晶工学 / 熱物性 / 環境技術 |
Research Abstract |
パルス着磁による超強力な超伝導バルク磁石の実現と、その着磁メカニズムの解明及び、バルク磁石の産業応用を目指した検討を行った。4Kまで冷却が可能な温度と磁場の多点同時計測システムを構築し、これまでの検討範囲を拡げたパルス着磁装置を組み上げた。この装置を用いて、バルク温度T_s,印加磁場B_<ex>とバルクの温度上昇ΔT及び捕捉磁場B_Tの系統的な関係を明らかにした。これまでの研究から、バルク温度T_sの低温化と、複数回の同一強度のパルス磁場印加によるΔTの低減が、B_Tを向上させる重要な点であることが明らかになった。そこでT_sとB_<ex>を最適化した2段階着磁法(MMPSC法)を新しく考案した。この方法は、まず冷凍機を用いて比較的高温(T_s=45K)に超伝導バルクを冷却して、比較的弱いパルス磁場(B_<ex>=4.5T)を2回印加して、バルク中心に約1Tの磁場を捕捉させる。次にバルクを低温(T_s=28K)に冷却し、最適な強いパルス磁場(B_<ex>=6.7T)を2回印加する。この方法を用いてRE=Gd系バルク表面でB_T=4.47Tの磁場捕捉に成功した。さらに、同じバルクを用いてB_T=5.20Tを達成した。最初の段階である程度の磁束を超伝導バルク中に捕捉させることで温度上昇を低減させ、その後の低温において、最適な磁場を印加することで捕捉磁束を向上させることがポイントである。同じサイズの超伝導バルクを磁場中冷却法で着磁する場合には、強い電磁力に対するバルクの機械的強度の問題からB_T=7Tが捕捉限界である。従って今回の成果は、パルス着磁法による捕捉磁場が一段と磁場中冷却法に近づいたと言える。捕捉磁場向上の研究の他に、応用を目指して複数の超伝導バルクを平面上に配列して、パルス着磁法で着磁を行う新しいタイプの超伝導バルク磁石の開発も行った。
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Research Products
(10 results)