2006 Fiscal Year Annual Research Report
表面プラズモンを使った全光型スイッチング素子・双安定素子の作製
Project/Area Number |
17560006
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
梶川 浩太郎 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 助教授 (10214305)
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Keywords | 表面プラズモン共鳴 / 非線形光学効果 / 光スイッチング / 光双安定性 / 光カー効果 / 近接場光学 |
Research Abstract |
本研究の目的は表面プラズモンを用いて3次の非線形光学による全光型スイッチングデバイス実現のための基盤技術を確立することである。本年度は、(1)良質な非線形光学材料薄膜の作製方法の最適化、(2)非線形光学効果を利用した非線形光学薄膜の評価方法の確立、(3)スイッチング素子の作製およびその評価を行った。非線形光学材料には直径100-120nmの大きさのポリジアセチレンナノ微粒子を用いた。ポリビニールアルコールをマトリクスとしてナノ微粒子を分散し、スピンコート法により製膜を行うことにより膜厚の制御性が良く、ほぼ均一な薄膜を得ることができた。他の方法も検討したが、本研究でこの方法で作成した薄膜を中心に研究をおこなった。得られた薄膜が持つ非線形感受率を光第3高調波測定により評価した。また、光第3高調波のコヒーレンスをメーカーフリンジの解析により評価する方法を開発した。その結果、コヒーレントな光学応答の度合いは均一に微粒子が分散した膜でも約30%程度であることがわかった。作製温度を高くすることにより小さい微粒子が作製できることがわかったため、直径80nm程度のナノ微粒子を分散させた薄膜でコヒーレンスの測定を行ったが、直径100nm程度の膜に比べて大きな差はなかった。これらの検討から得られた膜を用いて、表面プラズモン用いた全光スイッチングデバイスを作製して評価を行った。励起光によるスイッチング特性が得られたが、信号強度は弱く、計算機シミュレーションで予想した特性を得るには至らなかった。薄膜中を伝搬する光のコヒーレンスが30%程度となってしまうため、表面プラズモンの励起が弱いためであると考えられる。さらに検討を行いサイズが直径40nm程度金のナノ微粒子では高いコヒーレンスが得られたことから、さらに小さいナノ微粒子の作製が課題であることがわかった。
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Research Products
(3 results)