2006 Fiscal Year Annual Research Report
Fe/MgO/Fe接合のトンネル磁気抵抗効果 -MRAM実用化に向けて-
Project/Area Number |
17560008
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 博介 名古屋大学, 大学院工学研究科, 助手 (00293671)
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Keywords | トンネル接合 / 磁気抵抗効果 / TMR / スピン・フィルター |
Research Abstract |
Fe/MgO/Fe(001)トンネル接合において,室温で400%にも達する巨大なトンネル磁気抵抗効果(TMR)が観測されている。エピタキシャルな接合においては,電子波(ブロッホ波)の運動量k_<//>および対称性が保存されるため,MgOは運動量フィルター,対称性フィルターとして働く。さらにFeのΔ_1バンドがハーフ・メタル的であることから,結果としてMgOはスピン・フィルターとして機能し,大きなTMRが生じると考えられている。しかしながら,現実の接合には乱れが存在し,TMRが乱れによってどの程度の影響を受けるのかは明らかでない。そこで,MgO中の乱れや界面の乱れの程度とTMRの関係を調べた。また,強磁性絶縁体はMgOとは異なる機構でスピン・フィルター効果を引き起こす。そこで,強磁性絶縁体を用いたトンネル接合におけるTMR効果についても調べた。 グリッドコンピューティングシステム(NAREGI)を利用し,大規模な数値シミュレーションを実行した結果,乱れによってFe/MgO/Fe接合におけるTMRが球少することが明らかになった。MgO中において,MgとOが1%の割合で置換されている場合には,TMRは乱れがない場合の1,600%から800%にまで減少する。また,FeとMgOとの格子ミスフィットが界面で均一に緩和される場合にはTMRの減少はほとんどない。ただし,転位などの局所的で大きな乱れがある場合には,TMRは大きく減少することが明らかとなった。 ダブル・ペロブスカイト型強磁性絶縁体の電子状態を第一原理バンド計算により求め,スピン・フィルター効果とTMRを調べた。強磁性絶縁体LaNi_<0.5>Mn_<0.5>O_3を常磁性金属LaNiO_3ではさんだトンネル接合においては,LaNi_<0.5>Mn_<0.5>O_3の膜厚が6u.c.の場合に,99%ものスピン・フィルター効果が得られた。このことから,(La-Sr)MnO_3/LaNiO_3/LaNi_<0.5>Mn_<0.5>O_3/LaNiO_3接合では,低温においてFe/MgO/Fe接合よりも大きなTMRが得られると期待される。
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Research Products
(3 results)