2005 Fiscal Year Annual Research Report
走査トンネル顕微鏡探針直下における光学非線形性を用いた局所分子マニピュレーション
Project/Area Number |
17560021
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
目良 裕 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (40219960)
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Keywords | STM / 光学非線形性 / 分子操作 / 電場増強 / 表面界面物性 |
Research Abstract |
STMの探針試料ギャップの非線形光学特性を利用することにより、非常に微小な光源を実現できれば、これを用いた顕微分光測定手法や微細な物質操作が可能になると考えられる。しかし、探針直下での光学非線形現象については、その機構を含め、いまだに明らかでないことが多い。そこで本研究ではSTM探針直下の光学非線形効果の性質を詳しく調べ、効率的な非線形光発生のための種々の条件を明らかにすることと、モデル物質とする分子膜を対象に和周波発生光、差周波発生光によるSTM探針微小光源による局所的な構造変化を誘起し、物質操作技術としての有効性を検証することを目的としている。 今年度は以下のことを行った。 1)計画した実験を行うのに必要なグリーンレーザーの強度の評価 パルスレーザーとともに照射して和周波光を発生させるために使用するグリーンレーザーを購入するにあたり、毛計画した実験に必要な強度をこれまでの報告および用いている実験系での光電場増強度のその場測定などから評価した。 2)探針直下光学非線形性を利用した和周波光発生システムの構築 現有のフェムト秒パルスレーザーと購入した半導体励起YAG2倍波グリーンレーザーをSTMと組み合わせ、探針試料間で効率的に和周波光を発生させるためのシステムを構築し、調整した。 3)STM探針試料間の電場増強についての計算手法による評価 STM探針試料間での電場増強の定量的な評価を、実際の系に近い形状や物質配置に対して解析に求めることは非常に困難である。そこで有限差分時間領域法(Finite Difference Time Domain : FDTD法)を用いた数値計算によってシミュレートし、やはり大きな増強効果が期待できること、および増強が強くなる波長をコントロールできる可能性があることが確認できた。
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