2005 Fiscal Year Annual Research Report
筋肉の役割を有するスマート骨組展開構造物の不安定挙動の回避とその技術開発
Project/Area Number |
17560053
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
有尾 一郎 広島大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50249827)
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Keywords | 展開構造 / スマート構造 / 分岐挙動 / 折り畳み / 構造不安定 |
Research Abstract |
本研究課題は、大変形を伴う展開構造物の効率的な展開方法の開発と、その非線形挙動の解析および不安定挙動を回避する安定的な制御方法の開発を主目的としている。一般に、展開構造物の規模が大型化ならびに収納効率を向上させるには、多段階の折りたたみ機能が必要となり、その構造の形態が変化する際に構造不安定性の抑制が問題となる。一旦部材に不安定な変態が現れると、その構造系のバランスが崩れ、耐荷力が失われ、形態が複雑に絡み、実際にその挙動をコントロールすることが非常に困難となる場合が多い。それらの課題を生物学的な機構システムを見習いながら、幅広い知見や自然現象を参考にしながら、理想とする展開空間構造の創生を試みるものである。 今年度は、展開構造物の機構や仕組みを考案し、その機構の展開・伸縮運動に伴う力学挙動の工学的有効な展開方法や実験の検討を考えてきた。そのために、今年度は国内外の著名な力学研究者や材料科学者からの専門的知識を積極的に得るとともに、それらの展開構造に関する国内外の研究資料や実験装置などの情報収集に努めた。国際的にはこの分野は宇宙開発・技術に関わるため難しい面もあったが、独創的なアイデアによって,この研究活動から新しい展開構造体を発明することができた(工業所有権(特許申請中)に記載)。 共同研究者である,ポーランド科学アカデミーのJ.Holnicki Szulc教授とは、SMART-TECH.Centre(PAN)にて、マルチフォールディング展開構造物の不安定・安定動的挙動の実験を行うとともに,想定外の崩壊モードを発見するとともに,その崩壊モードの再現を数値解析によって検証を行っている。この実験で崩壊モードを確認し,受動的で安定的ないくつかのフォールディングパターンの経路を突き止めた。今後はすべての経路探索を行うとともにその一般化とアクティブ的な制御方法や展開方法による不安定性を回避する方法を進める予定である。特に、構造不安定に陥らないための機構や方法について時間をかけて考案および試行している。さまざまな技術の可能性から展開構造物の制御の創案がプロトタイプとして一つの制御形(特許申請)になったことは今回の研究課題の成果である。今後はそのプロトタイプの展開構造の数値シミュレーションの検証が行えるプログラムの開発を行いたいと思っている。また、展開構造物ではフォールディングが発生する際に、系が分岐点で不安定化し部材のひずみエネルギーから運動エネルギーに変換され、慣性力によって一気に系の状態が崩壊する場合があるので、これをうまく制御力を制御させながらコンパクトな状態に収納させるのかが当面の課題である。様々な変態のバリエーションが考えられるので、その点についても今後検討を講じていきたいと考えている。
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Research Products
(2 results)