2005 Fiscal Year Annual Research Report
次世代型超々臨界圧タービンシステムの超合金応力誘起酸化割れに関する研究
Project/Area Number |
17560060
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大地 昭生 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30374953)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
庄子 哲雄 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80091700)
竹田 陽一 東北大学, 大学院工学研究科, 助手 (40374970)
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Keywords | 応力誘起酸化割れ / ニッケル基超合金 / 酸化特性評価 / 微粉炭火力 |
Research Abstract |
微粉炭火力の蒸気条件の高温高圧化の開発の基盤技術として、超高温で長期耐久性を有する材料の安全性研究に取り組む。700℃級の超高温高圧タービンの高温部材として使用されるNi基鍛造超合金の高温水蒸気環境中での、材料劣化メカニズムの解明ならびに破壊メカニズムの評価と材料強化機構の検討を行うために、割れの形態ならびに割れ先端部での酸化物状態に着目した評価を実施した。 750℃までの水蒸気環境を再現し、治具による負荷下にて応力誘起酸化割れを発生させることが可能な応力誘起酸化割れ評価装置を試作した。予備試験として、インコネル718合金に対して、700℃の水蒸気環境中ならびに大気環境中において応力を負荷した場合と負荷しない場合のそれぞれにおける酸化試験を実施した。試験後の試験片表面ならびに断面について電子顕微鏡ならびにエネルギー分散型X線分析により酸化形態、元素分布について詳細観察した。両環境において表面の酸化皮膜の様子、はく離の発生など類似点が多く認められた一方で、応力負荷した試験片に発生したき裂に関し、断面からの観察では大気中ではき裂内部にニオブ酸化物が認められた。このことは文献等で報告されている事象と一致する。一方、水蒸気環境ではき裂内部でチタン酸化物、き裂周辺でニオブ濃化と大気中とは全く異なった酸化状態が確認でき、水蒸気酸化試験条件の指針をえた。加えて、それら発生したき裂長さは、表面酸化により形成された合金側のクロム欠乏層の厚さと同等であり、それとき裂発生との相関が示唆された。 既存の報告によれば、同合金における大気中で進展した応力誘起酸化割れのき裂面上酸化物の外表面にはCrが濃化している事例が示されている一方でNiが濃化しているとの報告もあり、水蒸気中のそれらき裂面での酸化形態について、今後酸素ポテンシャル制御下での評価と併せて、高分解能を有するオージェ電子分光分析法を用いた分析も視野に入れていく。
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