Research Abstract |
近年のグローバル生産システムにおいて日本の優位性を保つためには,高速化・高精度化のみならず,加工不具合の迅速対応や,加工結果の正当な判断が可能となるトレーサブルな加工システムの確立が重要となるが,現在のCAMからの出力データでは,NCデータ,図面,加工工程表など情報に関連性が無く,しかも意味的情報が無いため理解が困難となり,トレーサブルにならない.その解決方法としては,工具軌跡表現であるNCデータから,工具軌跡の特徴を抽出し,フィーチャ情報を求めることにより,意味的な情報となり,工具情報・素材情報・加工機械情報などとも容易に結びつけることができ,トレーサブルな加工システムを実現することが可能となる.そこで本研究では,上述した意味情報を含むモデルをセマンティック生産情報モデルと呼び,そのモデル化と従来システムとのインターフェースシステムの構築を意図し,以下の項目を目的とし研究を行った. (1)セマンティック生産情報モデルの構築 (2)従来のCAMからの出力データからセマンティック生産情報モデルへの技術的情報の統合,意味情報の記述によるセマンティック変換 (3)セマンティック生産情報モデルデータによる加工システムの実現と有効性の評価 本年度は,研究目的中に示した(3)に関して重点的に行い,以下の結論を得た. 1.前年度作成した加工作業プロセスのIDEF-0表現から,各サブアクティビティで行う作業を詳細化する事により,セマンティック生産情報モデルビューアの機能要件を抽出した. 2.上述の手続きで明らかにした要件を満たすセマンティック生産情報モデルビューアを実装した. 3.変換したセマンティック生産情報モデルから,既存のNCシステムを用いて加工を実現するためのNC工作機械駆動データ変換システムを実装した. 4.供試NCデータを生成し,その生成したNCデータからセマンティック生産情報モデルへの変換,変換したデータを用いた実加工実験を行うことで,提案したセマンティック生産モデルの評価を行い,本研究の有効性を確認した
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