Research Abstract |
切削速度が被削材の塑性波伝播速度を越えると,塑性衝撃波が発生し,非常に高い静水圧が発生する.そこで,超高速切削過程の塑性衝撃波の伝播と干渉を積極的に利用することにより通常の切削過程では得られないような高機能性を有する加工面を創成できる可能性について実験と解析の両面から検討した.まず当該期間において高速切削試験機の設計,試作を行った.装置の全長は9mで,中央に切削を実現する加工チャンバー,その両側面に全長それぞれ3mの加速管加速装置と減速管と減速装置がある.切削雰囲気は,真空,活性ガス,不活性ガスに制御できる.切削は,微小の超硬切れ刃を内蔵した質量15gの飛翔容器を圧縮ガスにより加速管内を加速させ,加工チャンバー内に設置した被削材を衝撃的に切削することで実現する.被削材ホルダーの下には圧電型動力計を設置し,衝撃切削力を測定できる機構とした.切削後の飛翔容器を安全に停止させるため,対向からの圧縮ガスにより飛翔容器を停止させる機構とした.飛翔容器の減速停止距離は3mである.数値解析より,3m以内に停止させるためには,減速用の圧力は加速用の圧力の10%増とすれば良いこととが分かった.解析より加速圧力0.9MPa,減速圧力0.99MPaの場合,切削速度は280m/sである.なお減速用のガスは,上記の条件の場合,加速用のガス噴射から17ms後に噴射する.この時間でガスの電磁バルブを制御する制御装置を製作し,機能を確認した.切削後の切りくずを無事に回収するため,切削後の切りくずは飛翔容器内に格納する機構とした.また飛翔容器の上面には白/黒模様があり,飛翔容器が光センサを通過した時のON/OFF信号の間隔から切削速度を算出する.予備実験から,切りくずが飛翔容器に格納されること,切削速度を計測できることを確認した.また流動応力が静水圧に依存するDrucker-Prager降伏条件をFEM切削シミュレーションに導入し,低速,高速,超高速切削機構を解析し,Mises体の場合との比較検討も行った.
|