2005 Fiscal Year Annual Research Report
イオンドーピングによる硬脆材料の被削性改善に関する研究
Project/Area Number |
17560105
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
白樫 高洋 東京電機大学, 工学部, 教授 (50016440)
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Keywords | 硬脆材料 / 切削加工 / 亀裂 / 4点曲げ試験 / 破壊応力 / 表面エネルギー / イオン吸着 / 高電場 |
Research Abstract |
本研究では硬脆材料の高能率切削加工を目的に、加工点のみの被削性を改善するための方法を検討するものである。硬脆材料の亀裂の発生を抑制するためには、表面エネルギーを増加またはこれの減少を抑制することが必要である。 本年度では欠陥の定量的評価としては4点曲げ試験による破壊応力による比較がもっとも信頼性があると想定されるので、旋盤による長手旋削により直径約4mm、長さ40mmの試験片を種々の環境下での作製を通して、硬脆材料の被削性の改善および無欠陥加工の推進の検討を行った。 典型的な均質硬脆材料であるガラスを対象に、切削加工を実施するための工具と加工条件の検討を行い、特別な微細加工を除けば、ガラス棒を断続切削も存在する通常の切り込み深さ0.1〜0.3mmで安定して切削するための工具材としては超硬焼結合金、単結晶ダイヤモンド、ダイヤモンドコンパックス、CBNコンパックス、セラミックス等が想定されるが、種々検討の結果、安定性、硬さ、耐欠損性、さらにコスト等の点からアルミナセラミックス(Al_2O_3)が最適であることが判明した。 切削環境、特に切削油剤の影響に関しては、OH^-イオンを含む環境下での切削がもっとも欠陥の発生が大であった。これはOH^-イオンの吸着により、表面エネルギーが減少するためと想定される。 表面エネルギーを積極的に増加させる方法として、亀裂発生位置に金属イオンをドーピング吸着させることが考えられる。切削中に切削点にのみ金属イオンをドーピング吸着させる方法として、工具近傍に金属(銅)を設置し、これと工作物(ガラス)の間に高電場(6KV/5mm)を付加しながら切削を行った。この方法により破壊応力そのもの増加は少なかったものの、破壊応力の分散は非常に小さくなった。この結果は金属(金)をコーテングした時と同等の結果を示しており、欠陥発生を抑制できることが示された。 今後の方針としては、金属イオンの種類、さらに有効にこれを吸着させるための環境について検討をする必要がある。
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