2005 Fiscal Year Annual Research Report
プラズマ照射によるダイヤモンド工具の耐損耗性の向上
Project/Area Number |
17560109
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
樋口 誠宏 関西大学, 工学部, 教授 (50067732)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 智実 関西大学, 工学部, 助教授 (10268310)
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Keywords | 加速器 / 超精密加工 / ダイヤモンド工具 / 長寿命化 / プラズマ加工 |
Research Abstract |
1.「ダイヤモンド原石に含まれる不純物が微小強度に及ぼす影響の解明」 天然単結晶ダイヤモンドIa型では、小板状欠陥と呼ばれる窒素不純物が多く混入する原石ほど、微小破壊強度が大きいことを明らかにした。この結果から、不純物の多いダイヤモンド工具ほど耐チッピング性に優れ、寿命も長いと考えられる。この点を検証するために、チッピングの検出方法と工具寿命の判定方法について検討し、AE事象率の振幅依存性と切削抵抗のスペクトル密度の周波数依存性に基づく方法を考案した。また、銅のダイヤモンド切削における工具損耗機構の解明を試み、酸化した銅のダイヤモンドによる還元、ダイヤモンド表面に先在するマイクロクラックの熱化学反応による進展が、摩耗とチッピングの発生原因であることを明らかにした。 2.「表面改質によるダイヤモンド強度の向上」 前述のように、ダイヤモンド表面のマイクロクラックの除去は工具の耐チッピング性の向上に不可欠である。そのため、銅と炭素の酸化反応における標準自由エネルギーの変化ΔG^0に注目したダイヤモンドの研磨方法について検討した。炭素の酸化物のΔG^0は銅の酸化物のそれより小さいので、酸化されていない炭素が銅の酸化物と接触すると、それから酸素を奪って炭素が酸化し、相手を還元する。そこで、523Kに加熱した銅板に荷重1Nで6hr接触させると、ダイヤモンド表面が数10nm摩耗した。この結果より、本熱化学研磨法が十分に実用に供しえることが判明した。また、研磨後のダイヤモンドの微小破壊強度が研磨前に比べて大きくなったことから、マイクロクラックが除去されたものと推定される。さらに、この方法で研磨されたダイヤモンド工具の寿命試験を行ったところ、機械的に研磨されたダイヤモンド工具に比較して、工具寿命が約40%も延びることが明らかになった。
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Research Products
(6 results)