2005 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ加工・計測のための気圧管理可能な環境一定制御チャンバーの実用化
Project/Area Number |
17560112
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Research Institution | Industrial Research Institute of Osaka Prefecture |
Principal Investigator |
山口 勝己 大阪府立産業技術総合研究所, 機械金属部, 主任研究員 (40359360)
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Keywords | 環境補償 / 環境一定制御チャンバー / レーザ干渉測長器 / 超精密加工 / 気圧 / 温度 / 湿度 / 位置決め精度 |
Research Abstract |
レーザ測長誤差を低減し加工精度の100nm以下を安定的に実現するためには、下記に示す(1)〜(4)の目標仕様が環境一定制御チャンバーに求められる。 (1)圧力制御方式:陰圧∵陽圧混在型の絶対圧力制御、(2)制御圧力精度:±0.2hPa以内、(3)制御温度精度:温度±0.1℃以内、(4)制御湿度精度:湿度±2%以内 これらの目標仕様を実現するために下記の1〜3の研究項目について検討した。 1.気圧制御方式の『押し込み型制御』から『陰圧・陽圧混在型制御』への転換 給気と排気にそれぞれ送風機とモータダンパを設け、流入側、流出側の両方の空気を同時にPID制御することで、チャンバー内部の気圧を陰圧にも陽圧にも制御できるシステム(『陰圧陽圧混在型制御』システム)を試作開発した。本システムでは、高精度制御のために送風機・モータダンパの制御オフセット量の可変機能を付加した。 2.環境一定制御チャンバーの制御性能と長時間稼動時の安定性・再現性の評価 無負荷状態と加工機稼動時に分けて、『陰圧陽圧混在型制御』システムの制御性能(温度・湿度・気圧の制御精度)を計測した。いずれの場合にも目標値(温度±0.1℃以内、湿度±2%以内、±0.2hPa以内)を満足する好結果を得た。加工機稼動時には工具と工作物間の相対変位測定を併せて実施し、気圧制御時には空気の流れの変化がチャンバー内の温度分布に影響し、熱変形を生じさせることを明らかにした。 3.ポンプユニット、圧縮空気、ミストスプレー等の加工機周辺機器の影響調査 気圧制御の外乱となる周辺装置の影響調査を実施した結果、圧縮空気とミストスプレーは気圧制御に影響を及ぼさないことが判明した。 ポンプユニットについては、チャンバー内外で差圧が発生したときにオイルミストが発生する問題が生じた。対処法としてパスカルの原理を利用したオイル回収法を考案し、これを適用したところオイルミストの発生を完全に防止することができた。
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Research Products
(2 results)