2006 Fiscal Year Annual Research Report
テーラ渦カオス混合の解析と血液濾過装置および動・植物細胞バイオリアクタへの可能性
Project/Area Number |
17560133
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Research Institution | Myrarab Institute of Technolony |
Principal Investigator |
河合 秀樹 室蘭工業大学, 工学部, 助教授 (20292071)
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Keywords | Taylor渦 / 固気液分離 / カオス / 混相流 / 微生物流動 / レーザードップラ流速計 / 超音速ドップラ流速計 |
Research Abstract |
【低アスペクト比Taylor渦カオス混合に対する解析】 2005年度に引き続き,TVF (Taylor Vortex Flow)微生物培養装置の撹拌混合状態を解析した.装置対象寸法はΓ(アスペクト比)=1.0,回転Reynolds数(Re)は20,000程度である.また半径比η=0.375とした.固液混合相の乱流遷移状態はUVP測定装置によって計測した.この結果,Re=20000でも主渦は1個でその原型は平均流速として再確認された.主渦の内部は複雑で渦の分裂,融合を繰り返した.高Reynolds数においては,装置底部のエクストラ渦が大きく発達する様相を呈しており,微生物撹拌の実験と整合性のあるデータが取れつつある. 【Taylor渦濾過装置】 濾過実験ではΓ=3とし,ナイロン粒子(平均粒子径約77μm,比重1.2)を使用した.η=0.375である.前年度と同様,回転フィルターによる圧損低減効果の大きい実験結果が得られたが,低確率で生じる流体の不安定現象に起因したケークの異常堆積については,その原因を明確にすることはできなかった.この現象は高速回転にしても低頻度ながら発生することは事実であり,やはりカオス混合との関連性があると思われる.今後は,より計測精度を向上させて,流れと固体粒子の挙動(大きさ,濃度)を測定する必要があると思われる.コンピュータを用いた粒子-流体挙動の解析はTVFの実験で観察されるリミットサイクル(粒子群がある一定の軌道に集まってくる現象)を再現させることができた.今後は粒子の大きさや質量によるより定量的な実験に展開し,TVF撹拌混合解析の精度をアップさせる.本解析は固気体混合(例えば高炉内粒子モデルや食品粉体・混練関連)でも基本的に応用できると考えられる. 【Taylor渦型微生物バイオリアクター】 スピルリナ藻体(微生物)は沈殿するReynolds数領域が狭いことが判明した.このためTVFの高速回転による藻体細胞破壊率の検証を優先させた.この結果,Re=40000程度までは細胞壁の弱いスピルリナでも殆ど細胞破壊することはなかった.現在細胞破壊率の測定に対して,吸光スペクトル法(定量測定)も含めた複数の測定法を考案中であり,確度の高い測定データの取得を目指す.
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