2006 Fiscal Year Annual Research Report
高機能色素薄膜製造を目指した塗布・乾燥過程における色素液晶の流れと構造変化の解明
Project/Area Number |
17560139
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Research Institution | Nagaoka University of technology |
Principal Investigator |
高橋 勉 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (20216732)
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Keywords | 色素液晶 / 薄膜形成 / 塗布・乾燥 / 流動誘起構造 / 非ニュートン流動 |
Research Abstract |
本年度は昨年度製作した塗布・乾燥ステージの改良を行った.高ずり速度での塗布を行う際にアプリケータがガラス面との摩擦および液膜の圧力により浮き上がり,ビビリ振動を生じることがあった.そこで,アプリケータをばねによりガラス面に押しつける機構を追加した.これにより高ぞり速度領域においても安定して塗布が行えるようになった. 乾燥過程における液膜の減少の様子をレーザー変位計により測定したところ,色素液晶では膜圧が一様に減少するのではなく上下に大きく周期的に変動しながら減少することを見いだした.液面の観察より乾燥過程の液膜表面は波動が発生しており,液膜外周の乾燥領域の進行に合わせて高さが周期的に変化している様子が見いだされた. 高分子液晶と色素液晶を用いて塗布直後から乾燥するまでの液膜の様子を偏光顕微鏡で観察したところ塗布方向に垂直なバンド状のテクスチャが発生し,時間とともに緩和していくことが見いだされた.乾燥時間が長い場合テクスチャは消失するが液晶分子の配向状態も緩和してしまうため光学異方性も消失する.強制乾燥により分子配向を維持した状態で乾燥させると光学異方性を有する薄膜が形成されるがテクスチャも維持される.テクスチャ構造は薄膜性能に対して悪影響を及ぼすため,これが形成されない条件を求めて塗布速度(アプリケータによるせん断速度)およびアプリケータのすき間の大きさを変化させて実験を行ったがいずれの条件でもテクスチャは発生した. 塗布・乾燥した色素液晶の薄膜は明確な光学異方性を示すことが確認され,この方法による高機能薄膜製造の有効性を明確に示すことができた.一方で,光学特性の向上のためにはテクスチャ構造の発生を抑える必要があり,塗布方法及びアプリケータ形状の改良が今後の課題であることが示された.
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