2006 Fiscal Year Annual Research Report
流体力学的手法による固液界面電気二重層厚さ測定法の開発
Project/Area Number |
17560143
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
鬼頭 修己 名古屋工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (10093022)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牛島 達夫 名古屋工業大学, 大学院工学研究科, 助手 (50314076)
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Keywords | 電気浸透流 / 電気二重層 / 流体摩擦 / マイクロ温度計 |
Research Abstract |
本研究の目的は,電気浸透流を発生させたとき壁面に強いせん断流が現れる事実を利用し,流体摩擦損失により発生する温度上昇を精密に測定し電気二重層厚さを推定する可能性と手法を開発することである.調査事項として,(1)精度の高い測定のため,電気浸透流装置の精密化とその特性(2)高分解能マイクロ温度計の開発(3)温度分布測定,を研究対象として取り上げた. (1)で得られた結果は,二枚のドーナツ型ガラス板から成る流路の流路幅hを精度0.2μ皿で7μm<h<80μmに任意に設定できることを確認した.二枚のガラス板間の平行度は0.0016°である.これにより流量と印加電圧の関係がHelmholtz-Smoluchowskiの理論に一致する精度の良い電気浸透流特性が得られた.次に電流特性を調べた.流路を流れる電流はI=I_BH_Sのようにバルク電流I_Bと二重層を流れる表面電流I_Sの和になる.これまで二つの電流を分離して測定されたことがなかったが,今回改良した装置により始めて表面電流I_Sの分離計測に成功した.表面電流が測定されたことにより二重層内での温度分布には流体摩擦損失に加え,I_Sによるジュール加熱を考慮する必要があることが明確になった.(2)で得られた結果は,当初計画にあった直径1μm,長さ0.5mの白金温度計が,水中で用いるには剛性が不十分で完成できなかったため,3.1μmのタングステン線を代用した.センサー部の電気絶縁にはワニスを薄く(5μm)塗布した.この結果温度分解能0.02℃,空間分解能15μm×1mmの温度計が製作できた.開発段階でマイクロ温度計にはセンサーの剛性,電気絶縁の問題点が重要であることが分かったため,これを考慮してさらに新しいセンサーを開発中である.(3)電気浸透流路出口における温度分布を測定した結果,予想どうりガラス壁面近傍において約0.5℃の温度上昇が確認された.ただ,得られた結果の精度の検討がまだできていないため,電気二重層厚さの推定は未完である.このため,精度検討を進め引き続き残された問題点の解決を進めている.
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Research Products
(1 results)