Research Abstract |
地球環境保全のためには機械からの二酸化炭素や有害物質の発生を抑える低環境負荷化と省エネルギー化が必須である.機械システムのエネルギー効率を高める一つの方法として排熱の回収がある.一般的に排熱回収装置では,内部に設置された伝熱管群の外側を高温の熱供給排熱ガスが流れ,このガスから伝熱管が授熱し管内部を流れる液体に伝熱し,排熱を回収する.近年,廃熱回収用ボイラなどの熱交換器では,伝熱面の対流熱伝達を促進するために,伝熱管の表面に針状のウィン群を多数設置した管が使用されている.しかしながら,流動抵抗が増し伝熱管群部の圧力損失が増加するため,伝熱性能を維持したまま流動抵抗のみを低下させる技術の開発が必須である. 本研究は,排熱エネルギーを極限変換効率で回収するため,伝熱性能を維持したまま流動抵抗のみを低減させる新しい技術を開発することを目的とする.本年度は,ソリッドフィンとセレイティッドフィンの2種類のフィンに対して,管軸方向のフィンのピッチを変化させ,後流の乱流および渦放出特性を詳細に調査した.さらに,伝熱管周りの乱れを増加させる方法として,フィン付き伝熱管の外側に螺旋状の乱れ発生装置を設置する方法を試みた.その結果,以下の結論を得た. 1.フィンのピッチが小さいほど,フィン付き伝熱管の後流領域が広がり,管軸方向の渦の相関が増加することが判った.この傾向は,セレイティッドフィンの方がより強くなる. 2.フィン付き伝熱管の外側に,直径が3〜5mmの乱れ発生装置を螺旋状に設置すると,無い場合に比べ後流領域が広がり,渦に因る速度変動の周期性が強まるとともに,渦の管軸方向の相関長さが増大することが判った. 3.乱れ発生装置の直径が7〜9mmの場合には,後流領域がさらに広がるが,渦に因る速度変動の周期性と強さが弱まり,渦の管軸方向の相関長さを減少させる効果があることが判った.
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