2006 Fiscal Year Annual Research Report
沸騰伝熱利用による電子素子の除熱機器の高度化に関する研究
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17560167
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
神永 文人 茨城大学, 工学部, 教授 (80114015)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 邦仁 茨城大学, 工学部, 講師 (00291287)
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Keywords | 沸騰 / 電子素子 / 除熱 / 熱伝達 / 伝熱促進 / 狭隘流路 |
Research Abstract |
本年度は研究の最終年度であり、昨年度ほぼ完成した扁平矩形流路実験装置を用い、質量流束として16〜76kg/m^2sの範囲で、沸騰開始から伝熱限界までの熱流束範囲でその沸騰熱伝達と圧力損失の特性を調べた。矩形流路は加熱領域が長さ40mmと幅20mmで、流路高さは、1.0mmと1.5mmの2種類を使用し、大気圧条件で作動流体に水を用いて実験した。また、昨年度までに整理した管径1.45mmと0.9mmの円管のデータとの比較も行い、以下の知見を得た。 圧力損失に対する全質量流束の影響は小さく、圧力損失は熱流束(蒸気流束)に依ることが示された。ほぼ同程度の円管と比べると、矩形流路が片側加熱であることから、圧力損失が最大でも、1.0mmの場合は500Pa、1.5mmの場合は400Paと小さく、圧力損失の観点からは、流路高さをさらに小さくできることが示唆された。円管で導出した圧力損失相関式を解析に適用したが、40〜60%程度低く予想することが示され、相関式の大幅な修正が必要であることが分かった。圧力変動は円管の場合より相対的に大きく、流体の一時的な逆流が示唆される状態も観察された。この圧力変動の考慮が圧力損失の予測精度向上には不可欠であるとの結論を得た。熱伝達率は、円管の場合とほぼ同じとなり、高さ1.0mmの流路の方が30%程度大きくなるが、全質量流束の影響は小さいことが示された。また、熱平衡クオリティに関する影響を調べた結果、熱伝達率が増加する領域は、どちらの流路でもおおよそ0.08以下で、それ以上のクオリティでは熱伝達率はほぼ一定となり、定性的には円管と同じとなることが分かった。限界熱流束はヒータの容量の関係で、16と37kg/m^2sの質量流束でしか達成できず、円管で推奨された式よりも、最近狭隘流路に対して提案されQu and Mudawarの相関式の方が予測精度が優れていることが示された。ただしそれでも、約50%低く予測する結果となり、相関式の改良が必要であるとの結論となった。
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