Research Abstract |
溶融金属層に直接接触する水の相変化現象のミクロ構造を解明する目的で,溶融金属にすずを選び,水を用いて,水中での様相の観察実験を行った.実験は,温度が600℃から650℃,質量が1から4gの溶融金属を,ほぼ常温の水に上方から滴下し,現象を高速度ビデオカメラで最大16000コマ/秒で撮影する方法で行った. 滴下された液滴は,膜沸騰から,膜沸騰の崩壊,蒸気泡の成長(蒸発)と収縮(凝縮),さらに溶融金属の微粒化を伴う自発的な蒸気爆発の様相を示した.実験では,高温液滴表面に膜沸騰蒸気膜が形成される過程と,この蒸気膜が乱れる過程,さらに蒸気爆発開始過程を反射光によるマクロレンズによる拡大撮影を行い,以下の点を明らかにした. (1)局所的な溶融すずの飛び出し現象が生じても,直ちに微粒化を伴う蒸気爆発に至らない場合がある. (2)膜沸騰蒸気膜形成の段階で,局所的に蒸気膜が消失して,水と液体状態の高温物質が,直接接触している濡れ面ができるが,直ちに微粒化を伴う蒸気爆発に至るわけではなく,再び蒸気膜が形成される場合がある. 従来,局所的な蒸気膜の消失は,液液の直接接触を意味し,自発核生成による,激しい蒸気発生と蒸気爆発への進展が推定されていただけに,重要な発見と考えられる. (3)蒸気爆発は,局所の蒸気膜の崩壊から開始し,その開始位置は,溶融すずが水中で変形しながら形成された円盤部の底部からの場合と,縁部分からの場合がある.
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