Research Abstract |
今年度は,前年度までに確立した要素技術を基に,全体システム設計について検討を行った.具体的には,実際のマニピュレータ製作の前段階にあたる,制御回路の具体的設計,またその制御方法の検討,さらに制御電圧等を考慮した分布常数系の屈曲形状のシミュレーションまでを実現することができた. 個別課題として,制御回路については小型化,システムモジュール化が可能な新規な制御方式として,3位相の位相ずらし回路による制御を提案した.また,実際の制御を行う際に重要となるIPMCの電気インピーダンスについて,分布常数系を用いたモデル化と,実際のIPMCでの測定結果に基づく評価を行った.さらに異なるイオンを用いた時の電気インピーダンスの変化についてもモデルをたてて,その妥当性について検討した.これらにより,制御のためにIPMCに供給する電圧と,実際の屈曲に寄与する電流との関係が明らかになった.以上の結果から,今後,マニピュレータとして自由に屈曲をコントロールするためには,今回のモデルに基づいた制御方法についての研究が新たに必要になると考えられる.最後に,屈曲減少のモデル化についても分布常数系を用いたモデルにより,屈曲形状をシミュレーションし,実際の屈曲の測定結果と照らし合わせて,妥当性が確認できた.これについても分布常数系によるモデルに基づいた任意な形状の制御方式が未だ明らかになっておらず,これに関する研究開発が今後必要であることが明らかになった. また本研究に派生して,IPMCが備える適度な電気インピーダンスと屈曲アクチュエータとしての性質の両者を利用した,新規なアンテナシステムを提案した.これについては,特許として成果を発表した.
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