2005 Fiscal Year Annual Research Report
カルコゲンガラスを用いる高感度医用X線フルオロスコピー:画像劣化の原因究明
Project/Area Number |
17560279
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
嶋川 晃一 岐阜大学, 工学部, 教授 (60021614)
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Keywords | 医療用X線センサ / アモルファスセレン / 画像劣化 / 画像応答遅れ / 実時間観察 |
Research Abstract |
アモルファスセレン薄膜(a-Se)は医療用大面積X線センサとして一部実用化され、デジタル画像として従来のX線フィルム方式から急速な発展をみせている。特に乳がんの検診用として力を発揮しているが、次の段階では、実時間観測(動画)がより医療現場で求められている。 a-SeはX線によって直接電子や正孔などの光キャリアを生成できることが特徴で、センサの構成も簡単であるが、X線照射による、画像の劣化(感度の低下)やゴーストと呼ばれる応答の遅れが観察されている。この原因を明らかにするのが本研究の目的である。 ゴーストの原因はX線で生成するキャリアの深いトラップへの捕獲と放出が原因と考え、(1)擬似X線照射状態を通常の"光"でつくり出し、キャリアの輸送過程を調べる方法を確立すること(安全で簡便な方法)、(2)現実の医療用X線源で直接キャリアのダイナミックスを調べること、の2本立てで進めることにした。カナダのS.O.Kasap教授はa-Seを用いるX線センサの開発者として知られているが、本研究の外国協力研究者であり、サスカッチワン大学(カナダ)で(2)の課題から取り組んだ。 防護された歯科用のX線源を用い、光電流のダイナミックス(時間変化)に及ぼすX線の影響を調べることで、キャリアのトラップ、放出過程を調べた。セレンサンプルはサンドイッチ型(厚み方向の光電流をモニタ)とギャップ型(サンプルに並行な光電流をモニタ)の両方を用意した。サンドイッチ型ではX線の照射ごとに光電流は減少し、ギャップ型では光電流は増加する。光電流に対するX線照射の影響を観察したのははじめてであり、これらはいずれも深いトラップに捕獲されるキャリアの動的ふるまいで説明できると考え、現在解析中である。 S.O.Kasap教授のグループとの共同研究であり、現在成果の発表をどのように行うか調整中(準備)である。なお、本研究遂行のため、大学院学生2名をカナダに同行したため、本年度は旅費の割合が大きくなっている。
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