2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17560282
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森藤 正人 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (00230144)
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Keywords | ツェナー電流 / 共鳴効果 / 電子波干渉 / 共鳴トンネル効果 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ツェナートンネル電流における共鳴効果を理論・実験の両面から調べることである。今年度は、電子波の時間発展という観点から電気伝導現象における電子波干渉の効果を理論的に調べた。 1.共鳴トンネル効果における電子波干渉の効果を調べた。 そのために、経路積分法にWKB近似を適用した理論(Y.Zohta, Phys. Rev. B51,7307(1995))を、時間を追って電子波の運動を記述できるように拡張した。この理論に基づいて、半古典的な描像に基づいて、二重障壁構造を通過する電子の挙動を調べた。 その結果、電子は障壁間を部分的に透過しながら多重反射するという運動を行い、それに伴って、透過波、反射波の振幅が部分波間の干渉効果のために、時間を追って形成されて行く様子を記述することができた。この理論により、共鳴トンネル現象を時間を追って記述することができるようになり、振幅の形成過程という新たな視点から現象を理解することができた。 2.電子波の干渉効果により量子状態が形成されて行く過程を調べることを目的に、非周期系であるHenon-Heilesポテンシャル中の電子波束の運動を数値計算によって調べた。 その結果、たとえ電子波の運動が非周期的であっても電子波干渉の効果によって固有状態が形成されることがわかった。これは、半古典的な描像に基づいた量子条件が満たされないような場合にも、有限の大きさを持つ波束の運動を考えると、干渉による状態の強め合い生じうることを示している。
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Research Products
(1 results)