2006 Fiscal Year Annual Research Report
水素とラマン分光を用いた薄膜型情報機器用ポリシリコンの高性能化
Project/Area Number |
17560284
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
北原 邦紀 島根大学, 総合理工学部, 教授 (60304250)
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Keywords | ポリシリコン / アモルファスシリコン / 粒界 / 欠陥 / 水素 / ラマン散乱 / 薄膜トランジスタ |
Research Abstract |
薄型情報端末用半導体として有望な薄膜トランジスタ(TFT)の材料としてポリシリコン薄膜を研究の対象とした。ポリシリコンTFTを水素化処理すると欠陥が終端され,素子特性が向上することが知られている。しかし水素と欠陥の関係は複雑で,ポリシリコンを単なる結晶の集まりと見なすと理解しがたいものがある。ここではアモルファスシリコンとレーザ結晶化ポリシリコンを比較しながら研究を進めた。 水素化はプラズマ損傷のない触媒法で行った。これとは別に高圧水蒸気熱処理についてもその効果を調べた。評価は主にラマン分光で行った。用いたアモルファスシリコンが高純度であることを電気的特性により確認した。 アモルファスシリコン中のダングリングボンド(DB)部での水素終端状態に応じてTOモード半値幅が増減することから,構造規則性が変化することが確認された。高圧水蒸気熱処理した場合は一部のDBのみが水素終端された。アモルファスシリコンが残留するポリシリコンに対しては,水素の取り込みにより結晶成分の構造規則性が向上するのが認められた。以上より,残留アモルファスシリコンが水素の取り込みにより構造緩和し,近傍の結晶成分に対しても構造規則性の向上を引き起こすことが分かった。 十分に結晶化したポリシリコン膜に対して,水素が欠陥部のDBを終端する状態をセコエッチングにより調べた。エッチングは電気化学的課程を含むので,DBの荷電状態が反映される。水素化しないと粒界部が強く侵食され,同時に内部の応力が緩和する。これは粒内の欠陥を通してエッチング液が浸透し膜と下地の界面が剥離したためである。水素化すると粒界の侵食が見られず,膜が消滅するまで結晶粒の剥離が起こらない。エッチング速度も低下する。以上より,水素化は粒界のみならず粒内の欠陥部にあるDBも保護することが分かった。
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Research Products
(2 results)