2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17560292
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
二本 正昭 中央大学, 理工学部, 教授 (70384732)
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Keywords | 磁区構造観察 / 面内磁気記録媒体 / 磁気力顕微鏡 / 垂直磁気記録媒体 / 磁区構造の熱的安定性 / 面記録密度 / 磁性膜 |
Research Abstract |
磁性膜の磁区構造に及ぼす温度と磁界の効果を調べるため、温度および磁界強度を制御しながら磁区構造を高分解能で観察し、測定結果を解析する技術の開発を進めた。平成17年度の研究実績は以下の通りである。 1.本研究の予備検討として、光学顕微鏡と走査電子顕微鏡を用いてビッター法による磁区構造観察を行った。磁気記録媒体として、フロッピーディスクおよびハード磁気ディスクを用いた。加熱・磁界印加できるステージを試作し、温度(RT-200℃)および磁界(0-6.7kOe)の独立制御ができることを確認した。磁化情報は磁界印加の場合は保磁力相当の磁界で消失するが、温度を重畳負荷させるとより低磁界で消失することが確認された。予備実験により、高密度な磁気記録媒体で磁化状態に及ぼす温度と磁界の効果を調べることの意義が明確化された。 2.高分解能で磁化状態観察を行うことを目的に、既存のAFM/MFM装置対応の加熱ステージを設計し、試作改良を行なった。最大サイズ5mmx5mm程度の面積を持つ試料で、温度範囲(RT〜300℃)でAFM分解能<1nm, MFM分解能<30nmで表面形態と磁区構造の観察が可能であることを確認した。 3.面記録密度25Gb/in^2の面内磁気記録媒体の加熱状態における磁区構造観察を行った。この面内磁気記録媒体の磁区構造は300℃においても安定に存在することが分かった。 4.加熱に際して、MFM像の熱ドリフトが観察された。検討の結果、これは試料の熱膨張に起因するものであり、試料の観察点を熱膨張の基軸点とするように工夫することで対応可能であることが分かった。 5.MFM像のフーリエ変換技術を応用して室温および300℃における記録状態の比較検討を行った。この結果、300℃では記録磁化情報の劣化が起こっていることが示された。 6.現在、観察試料をさらに高記録密度の80Gb/in^2の面内磁気記録媒体、130Gb/in^2相当の垂直磁気記録媒体に拡張して実験を推進中である。これらの研究結果を平成18年度開催の日本応用磁気学会の講演会等で発表予定である。なお、本研究に関して3件の学部卒業論文が大学に提出され、受理された。
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