Research Abstract |
屈折率センサへの応用を目的として,金属格子に励振されるプラズモン表面波の特性と,表面波の励振にともなう入射電力の吸収(プラズモン共鳴吸収)を計算機シミュレーションによって詳細に調べた.また,予備的な実験によって,シミュレーション結果を確認した. 格子の配置はプラナーまたはコニカルとし,1次のエバネッセント波がプラズモン表面波と結合する領域で,0次回折効率の入射角特性およびTM-TEモード変換特性を調べた.市販のホログラフィック格子(UV格子,1,800本/mm,Al素材,(1)MgF_2コーティングおよび(2)Auをコーティング)を用いた実験の結果は,数値計算による予測と良く一致した. コニカル配置では,プラズモン共鳴吸収は,強いTM-TEモード変換をともなう.TM波を入射させたとき,共鳴吸収の起こる入射角において,回折光のTM成分はほとんど消滅し,TE成分が支配的である.このため,TM成分の回折効率の逆数1/p_o^<TM>をプロットすることによって,この入射角を0.1°以下の精度で測定することが可能であることを確認した.プラズモン共鳴吸収を屈折率センサに応用した場合,0.1°の精度は,4桁の分解能に相当する. 実験における再現性の向上と人的要因に起因する誤差の低減のため,実験装置の一部を自動化した.従来は手動で行っていたレーザ照射,ステージ回転,TM波とTE波の分離,回折効率の測定とパソコンへのデータ取り込みなどを自動化し,測定時間の短縮と誤差の低減を行うことができた.現在,自動化にともなう格子の設置法の変更(従来は格子表面水平,自動化後は垂直)に対応するため,実験装置の一部に改良を加えている.
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