2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17560390
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
古谷 栄光 京都大学, 工学研究科, 助教授 (40219118)
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Keywords | 鎮静度制御 / 吸入麻酔 / BIS / セボフルラン / プロポフォール / 相互作用 / 薬力学モデル |
Research Abstract |
近年,覚醒が早く副作用が少ない麻酔薬が開発され,手術内容によっては全身麻酔においても日帰り手術が行われ,患者の手術による負担を軽減できるようになってきている.麻酔薬には静脈麻酔薬と吸入麻酔薬があるが,静脈麻酔薬については患者の鎮静度に基づいて投与速度調整が行われているのに対し,吸入麻酔薬に関しては呼気中麻酔薬濃度に基づいて調整されるのが一般的である.本研究では,吸入麻酔薬に関しても鎮静度指標に基づいて投与速度を調整することにより,より患者の負担が小さく望ましい麻酔状態を実現するシステムの開発を目的として,吸入麻酔薬投与速度調整機構の試作を行った.また,最近静脈麻酔薬と吸入麻酔薬の長所を組み合わせて,麻酔導入時に静脈麻酔薬,麻酔維持時に吸入麻酔薬を用いる麻酔法が行われるようになってきている.このような場合に鎮静度を適切に制御するため,麻酔薬の相互作用のモデルと鎮静度制御法の検討を行った. 吸入麻酔薬投与速度調整機構については,通常利用されている麻酔器の調節ダイヤル部分に取り付け可能なアタッチメントを試作したが,取り付けや手動調整への切り替えが容易ではなかったので,再検討の必要がある. 静脈麻酔薬と吸入麻酔薬の相互作用に関しては,従来研究の相互作用を考慮した薬力学モデルには各薬剤の特性を適切に表していない,複雑すぎて実用的でないなどの問題点があったので,新たに各薬剤の特性と相互作用を適切に表現した実用的な薬力学モデルを提案した. また,静脈麻酔薬と吸入麻酔薬を併用する場合の鎮静度制御系をモデル予測制御を用いて構成し,シミュレーションによる検討を行った.シミュレーションの範囲ではほぼ適切な応答が得られたが,多少行き過ぎがあるなどの問題点もあり,個人差への対応も含めてさらに検討する必要がある.
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