Research Abstract |
昨年度と同様に岩手県紫波町の架設後25年度経過した2連単純合成鋼鈑桁橋である下梅田橋(支間長22.74m)において,平成18年10月に詳細な実橋載荷試験を実施した.本年度の静的載荷試験では,15tf,20tfトラックを対象橋梁の計測径間および隣接径間に載荷させ,2径間にわたる主桁のひずみや変位を計測するとともに,支承部や中間橋脚の水平変位も計測した.また、支承部や中間橋脚上に高精度傾斜計を設置し、支承のたわみ角と中間橋脚の傾斜角を計測した.その結果下梅田橋では可動支点が経年劣化のため水平移動拘束されて荷重載荷径間で支点部からかなりの範囲にわたって主桁下フランジに圧縮ひずみが発生するとともに,隣接径間の主桁下フランジにも一定の圧縮ひずみが生じることが明らかになった.また、中間橋脚が荷重載荷時に水平移動していることが分かった,次に動的載荷試験では,常時微動測定,トラック走行試験,砂袋落下試験,実稼動試験を行い,それらの試験結果を比較検討した.トラック走行試験では,対象橋梁上をトラック車両の台数,車間距離速度等を変えて走行させ加速度,動ひずみ,動変位を計測した.その際中間橋脚にも加速度計,動変位計,高精度傾斜計を設置し計測を行った.それらの結果より,供用中の橋梁は,無載荷状態と異なる固有振動数を有することが分かるとともに,2連単純鋼鈑桁橋の固有振動数や動的挙動に中間橋脚が大きな影響を与えていることが分かった.また,支点部の動ひずみ応答曲線を移動平均法を用いて静的曲線に変換し,逆解析を用いて走行荷重を推定する手法を提案し,実用性を確認した.最後に静的載荷試験より得られる支点近傍点のひずみ実測値と動的載荷試験より求まる実測基本固有振動数を用いて既設鋼鈑桁橋の可動支点部の拘束状況と床版の経年劣化度を同時に判定する簡易健全度評価手法を提案し,2連鋼鈑桁橋,単純鋼鈑桁橋に適用し提案手法の妥当性を確認した.
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