2006 Fiscal Year Annual Research Report
都市地盤の変形予測手法の開発とライフサイクルコストによる品質管理に関する研究
Project/Area Number |
17560443
|
Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
三村 衛 京都大学, 防災研究所, 助教授 (00166109)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井合 進 京都大学, 防災研究所, 教授 (20359780)
飛田 哲男 京都大学, 防災研究所, 助手 (00346058)
田中 洋行 北海道大学, 大学院工学研究科, 助教授 (90371757)
|
Keywords | 洪積地盤 / 長期沈下 / 埋立 / 弾粘塑性構成式 / 有限要素法 / 圧縮性 / 透水性 / 高位構造粘土 |
Research Abstract |
昨年度までに構築した,大阪湾更新統粘土の擬似過圧密性に起因する圧縮モデルを弾粘塑性有限要素コードに組み込み,大水深海域で実施された大規模埋立工事である関西国際空港基礎地盤の変形解析を実施した。 大阪泉州沖の大水深海域において埋立によって建設されている関西国際空港基礎地盤は,第四紀更新統の堆積層において大きな沈下を引き起こしている。本稿では,その主たる要因が,更新統粘土の擬似過圧密性と時間依存性,更新統砂礫層のマクロ透水能をであると考えた。既に著者らによって提案されている構造を有する粘土の新たな圧縮モデルを適用し,砂礫層の不連続性や細粒分による透水性低下を等価な透水係数を与えることによってマクロな透水特性をモデル化し,これらを弾粘塑性有限要素法に組み込むことによって,現地で起こっている現象を評価することを試みた。解析結果は,基礎地盤内の過剰間隙水圧分布,各更新統粘土層の沈下挙動の実測値を表現し得ており,提案している解析手法が妥当なものであることがわかった。また,二期空港島を200m沖合に隣接して建設するにあたり,透水性の悪い更新統砂礫層を介して過剰間隙水圧が環流し,いわゆる水枕効果と呼ばれる現象が起こり,基礎地盤の中には一時的に有効応力が減少して除荷状態となる領域が出てくる。この時,過剰間隙水圧が停留し,沈下の進行が一時的に抑制されるものの,時間の経過とともに再度圧密を開始し,長期的にはこれによる一期空港島の沈下抑制効果は認められないことが明らかとなった。また,室内試験から除荷時挙動が従来言われているような弾性的なものではなく,膨潤後に載荷されなくても再圧縮を始めるという現象が室内試験からわかった。このため,近接施工による水圧環流などの複雑な応力径路を採る地盤の変形挙動を正しく評価するためには,除荷・再載荷時の圧縮性の新しいモデル化が今後の課題として浮上した。
|
Research Products
(6 results)