2006 Fiscal Year Annual Research Report
洪水撹乱影響下における河川植生動態と植生による土砂堆積との相互影響評価手法の開発
Project/Area Number |
17560452
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
田中 規夫 埼玉大学, 大学院理工学研究科, 助教授 (80323377)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯谷 賢太郎 埼玉大学, 大学院理工学研究科, 助手 (00344953)
|
Keywords | 植生動態 / 洪水撹乱 / 砂礫河原 / 土砂堆積 / シナダレスズメガヤ / ツルヨシ |
Research Abstract |
帰化植物の砂礫河原への侵入は、生物多様性を減じるだけでなく粗度特性を大きく変化させ、河道内樹林化にも影響を与えている。植物草本群落の生長と環境要因の関係については多くの研究があるものの、河川空間における草本の生長・遷移は洪水攪乱強度・頻度によって異なるため、未解明の部分が多い。そのため、1)砂礫河原に早期出現し、拡大・繁茂能力のある植物種の洪水攪乱後における再生長・繁茂特性の分析、2)植物の繁茂状態を踏まえた洪水時の粗度特性、土砂堆積特性、洪水耐力の解明、3)洪水攪乱頻度・強度と植物の生長の相互影響評価手法の開発と解析(洪水解析と生長解析との連動)を行った。特に、草本群落時点における対策の効果判定法をシナダレスズメガヤとツルヨシについて提案した。シナダレスズメガヤについては、1)抗力を代表するパラメータと洪水時の底面せん断力を代表するパラメータを導出し、シナダレスズメガヤ周辺の土砂移動限界・洪水時の流失限界の把握、2)移動限界、流失限界を超える洪水規模の推定を行い、本研究で用いた解析手法は有効と判断した。ツルヨシについては、1)異なる洪水攪乱を受ける地点において、ツルヨシの全体に占める各ランナーの割合や親株の生長量の相違点の解明、2)最大摩擦速度と限界摩擦速度との比較による洪水攪乱頻度とツルヨシの形態的特長から推定した攪乱影響との関係解明、3)洪水撹乱影響をうけて変化する各ランナーの割合と親株の生長量変化を組み込んだツルヨシ生長・拡大モデル改良版の構築を行った。本研究により、水理計算により得られた摩擦速度からツルヨシに与える洪水攪乱頻度とツルヨシの形態的特長、繁茂量・拡大幅とを関連付けられることが判明した。今後、シナダレスズメガヤやツルヨシが土砂移動限界に与える影響だけではなく、洪水撹乱頻度・強度が生長に与える影響も加味した相互解析が可能になると考えられる。
|
Research Products
(4 results)