2006 Fiscal Year Annual Research Report
粘着性土からなる地形の浸食速度評価法の確立とその地形変動予測への応用
Project/Area Number |
17560463
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
関根 正人 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (60187854)
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Keywords | 河川工学 / 水理学 / 移動床水理学 |
Research Abstract |
本研究では,主として二つのテーマに関わる研究を行った. 第一が「簡易浸食試験器の開発とこれを用いた浸食実験手法の確立」に関する研究である.著者が一連の研究で最終的に目標とするのは,実際の水域に自然堆積している粘土の浸食速度を評価する手法を開発することと,これを予測可能とする普遍的な式を誘導することである.本研究では,現地に堆積している粘土を検討の対象として,その浸食速度を現地で直接計測可能とする簡易的な浸食試験器を開発すること,ならびに,その計測手法を確立することを目指した.具体的には,実水域で計測を行う前段階として,屋外にある規模の大きな水路の底部に粘土を自然堆積させて用意した模擬河床上に,この簡易浸食試験器を設置することでその浸食速度の計測を行った.実験は一年を通して行われ,水温を含めた環境が大きく異なる条件下でのデータが得られた.結果として,計測値がこれまでの室内実験と同等の精度を有し,同様の結果となることが確認され,この計測手法の妥当性が確かめられた.また,屋外という厳しい条件下で計測を行う際た留意すべき点も明らかになり,現地で計測するための準備はほぼ整ったと言える. 第二に「土砂の粘着性が裸地斜面の浸食過程に及ぼす影響」に関する研究を行った.ここでは,土砂の粘着性が浸食地形の形成過程に及ぼす影響を明らかにする研究の第一歩として,次のような実験的研究を行った。最大15%の比率で粘土が混合されている裸地斜面を対象として,この斜面が降雨によりどのように表面浸食を受けるかについて実験的検討を行った.その結果,裸地斜面の一部に粘土が含有される場合には,これがない場合に比べて斜面自体の耐浸食性が向上すること,その一方で斜面の透水性が低下するため表面流の流量さらには掃流力が増大すること,などが確認され,結果として形成される浸食地形に明らかな違いが現れることが明らかになった.
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Research Products
(5 results)