2005 Fiscal Year Annual Research Report
リン蓄積細菌の好気的代謝に及ぼす亜硝酸塩の阻害効果に関する基礎的研究
Project/Area Number |
17560489
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
齋藤 利晃 日本大学, 理工学部, 助教授 (50277381)
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Keywords | 環境技術 / バイオリアクター / 水質汚濁 / 微生物 / 土木環境システム |
Research Abstract |
pHや水温などの制御系を有するファーメンターに酢酸を主成分とする基質を投入し、嫌気-好気もしくは嫌気-無酸素の回分式方法で運転することにより、リン蓄積細菌(以下、PAOs)の集積培養を行なった。得られたPAOsは、異なる電子受容体(酸素のみ、酸素+微量の亜硝酸、硝酸のみ(無酸素条件))を用いて培養されており、様々な脱窒能力を有するPAOsである。これらのPAOsを適宜取り出し、亜硝酸濃度を変えた回分実験を行ない、亜硝酸の挙動、リン摂取阻害応答、アンモニア測定による増殖阻害応答、酸素呼吸阻害応答などを調べた。また、同時に好気的および無酸素的リン摂取速度を測定し、脱窒能力の有無による阻害応答の相違を検討した。 その結果、亜硝酸によるPAOsのリン摂取阻害は呼吸阻害と連携しており、呼吸阻害が大きいとリン摂取の阻害も大きい事が示された。また、リン摂取阻害や呼吸阻害の大きさが、汚泥の種類によって大きな相違があることが示され、既存の報告例と同様に、亜硝酸による阻害応答の不確実性が示された。この原因を探るために、回分結果を注意深く観察したところ、脱窒活性が大きいほどリン摂取阻害を受けにくい傾向が示されたため、これまでに行なった20系列を越える実験結果の全てを、脱窒活性比を横軸に整理したところ、活性残存率(亜硝酸無加時のリン摂取活性に対する亜硝酸添加時のリン摂取活性の比)は、脱窒活性比と明確な関係があることが示された。更に、亜硝酸を添加したいずれの回分試験においても、PAOsによる亜硝酸の好気的減少が観察されたことなどから、少なくとも一部のPAOsは、亜硝酸を速やかに還元する事によって亜硝酸を解毒しているのではないかと考えられた。 残る研究期間においては、これまでの結果から示唆された呼吸系への電子の流れを考えた解毒メカニズムを詳細に明らかにしていく予定である。
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Research Products
(3 results)