Research Abstract |
本研究課題の目的は,高速嫌気性反応槽(上昇流嫌気性スラッジブランケット反応槽、以降UASB反応槽と称す)と接触酸化槽を組み合わせた新規な高速下水高度処理システムの実用化を検討することであり,2槽式UASB-接触酸化室内実験装置を製作した。各反応槽の有効容量は各々5Lの合計15Lとし,UASB反応槽への植種汚泥には食品工場廃水処理UASBグラニュール汚泥を投入し,接触酸化槽には生物付着担体を充填した.原水は都市下水を想定した人工下水とし,有機炭素源と窒素源にはしょ糖,ポリペプトン,塩化アンモニウムを用いてCODcr 300mg/l,全窒素(T-N)30mg/lに調整した.その他にはリン源,硫黄源,緩衝剤,無機塩類も添加した.原水は1槽目と2槽目のUASB槽へ供給し,1槽目UASB槽では,メタン生成菌と硫酸還元菌によって有機物が除去され,硫酸塩は硫化物に変換される.1槽目UASB槽の処理水は2槽目UASB槽を経由して接触酸化槽へ送られ,硝化菌によってアンモニアが硝酸に変換される.接触酸化処理水の一部は循環ポンプで再び2槽目UASB槽へ送られ,他栄養性脱窒菌と硫黄脱窒菌によって脱窒が行われる. 本実験では連続実験を通じて,HRT,循環比,原水硫酸塩濃度を変化させた.各槽内のpHは全期間を通じて6.6〜7.6,処理温度は15〜32℃,UASB槽内のORPは-200mV以下,接触酸化槽のDOは2〜4mg/lに維持させた.その結果,HRT8.3h,循環比6,原水SO_4-S濃度100mg/lの条件において,CODcr除去率は平均97.2%,T-N除去率は81.8%を達成することができた.また,原水中の硫酸塩濃度の増加はT-N除去率の向上に効果があることが判明した.
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