2006 Fiscal Year Annual Research Report
付着制御が拓くプレストレストコンクリートの新技術に関する基礎研究
Project/Area Number |
17560508
|
Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
中塚 佶 大阪工業大学, 工学部, 教授 (60107133)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田坂 誠一 明石工業高等専門学校, 建築学科, 教授 (50144217)
岸本 一蔵 大阪大学, 大学院工学研究科, 助手 (40234215)
|
Keywords | プレストレストコンクリート / 圧着工法 / アンボンドPC鋼材 / 剥離性目地 / リユース / ダンパーディバイス / エネルギー吸収 / 高復元性 |
Research Abstract |
近未来の地球の資源・環境を考えたとき、「ストックでありつつフローである建築」を実現することが不可欠と考えられる。本研究は、これまで等閑にされてきたPC鋼材の付着特性の活用(制御)によって、変形を指標とするこれからの性能評価型設計に適合するPCの新しい技術・設計法の創出を目指すもので、次の2つの目的をもつ。(1)高復元性・エネルギー吸収性を有するプレキャストコンクリートブロックによるリユース建築構造の開発。(2)付着特性がPC部材の構造特性におよぼす影響の解明。本研究で得られた主な結果を以下に示す。 (1)コンクリート構造部材をリユースする際に不可欠となる剥離性目地を開発し,その1面せん断試験から同目地が極めて良好な剥離性をもって,リユース性に優れていること、ならびに、せん断応力-ずれ変形特性におよぼす圧着応力,目地材強度,目地幅などの影響を調べ、同目地が実用的に十分なせん断強度を有していること、などを明らかにした。 (2)アンボンドPC鋼材圧着工法によって剥離性目地を介してコンクリートブロックを一体化し,エネルギー吸収用の鞘鋼管付き普通鉄筋によるダンパーディバイスを外付けしたPC梁部材に関する実験を行い以下の成果を得た。(a)柱スタブと接する第1ブロックは,部材角1.0%で材軸に沿う軽微なひび割れ,1.3%でコンクリートの圧壊が観察されたものの,3.3%の大変形に耐えた。無筋コンクリートの第2ブロックには新規のひび割れは全く発生しなかった。(b)プレストレッシング係数が0.85程度で、鞘鋼管付普通鉄筋を外付けしたプレキャストブロックPC梁は、大変形時でも零に近い変形にまで戻る高復元性と,5〜9%程度の等価粘性減衰定数となるエネルギー吸収能を示した。 (3)PC部材における鋼材とコンクリート間の付着程度が等価粘性減衰定数heqに及ぼす影響を鋼材量、鋼材配置位置など、付着以外の他の要因を含めて分割要素解析による検討を行い、その結果から、PC梁部材の等価粘性減衰定数算定式を導出した。同式により計算されるheqは実験値お概ね良好に、かつ安全側に評価することを確認した。
|
Research Products
(3 results)