Research Abstract |
本研究は,実在の高齢者福祉施設を対象として,特に空調系統,給湯系統に着目して,電力・ガス消費量や水使用量の系統的,連続的な測定を行うとともに,並行して主要室の温熱環境の測定や,各種設備機器の使用状況,入所者や職員の施設内での行動実態について,ヒアリングや観察などによって調査することにより,入所者の生活水準や介護レベルを維持した上で,エネルギー消費量の削減を可能とする施設運用や機器使用の方法について検討することを目的としている。 初年度は,これまで進めてきた対象施設における実測調査の結果について,より詳細な検討を行い,各施設の現状における問題点を抽出した。また,その結果をふまえ,必要と考えられる追加測定を実施した。具体的な内容は以下のとおりである。 1)これまで調査・測定を進めてきた広島県北の2施設について,施設全体のエネルギー消費量についての比較・検討を行うとともに,特に給湯系統に着目して,給湯システムの効率など性能評価を行った。また,入所者に対するヒアリング調査に基づいて,高齢者がいかなる温熱環境に曝露されているかを追跡し,施設の室内環境制御における問題点を明らかにした。 2)2施設中1施設については,冬季の施設全体エネルギー消費量の値に問題があったため,データの補足を意図した再調査を実施した。期間は2006年2月10日より3月3日であり,併せて施設内の主要公共スペースでの温熱環境調査を実施した。 3)2施設の問題点をふまえ,新たな施設を選定し,調査・測定を実施する必要性について検討を進めた。施設の概要や保有設備機器,系統別エネルギー消費量や給水・給湯量の測定可能性を考慮するとともに,特に介護浴やリフト浴などの入浴時における使用水量・湯量について,測定計画を含めて検討した。 次年度は,3)の結果を受けて具体的な測定を行い,これまでの分析結果を併せて,高齢者福祉施設のエネルギー消費構造について明らかにする。
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