2006 Fiscal Year Annual Research Report
脳波トポグラフィーと居住後評価を用いた病院の環境評価に関する研究
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17560537
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
山田 由紀子 明治大学, 理工学部, 教授 (10061938)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小久保 隆之 明治大学, 理工学部, 助手 (60409448)
辻村 壮平 明治大学, 理工学部, 助手 (80409458)
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Keywords | 病院環境 / 居住後評価 / 脳波 / 妨害感 / 精神作業 |
Research Abstract |
平成17年度に、ドイツのミュンヘンにおいて実施した、病院環境の実態調査及び脳波測定実験の結果を考慮し、平成18年度は、脳波に着目した、読書や簡単な計算などの精神作業時の音の妨害感や注意の向きなどに関する研究を行った。明治大学理工学部の簡易無響室において、音環境の条件を制御できるシステムを構築し、被験者に精神作業(内田クレペリン精神検査)を賦課した条件で、被験者が作業に注意を向けている場合とその作業中に音刺激を呈示した場合の脳波を計測した。脳波の測定終了後、作業中に呈示された聴覚刺激に関して、10段階の評定尺度法を用い、各聴覚刺激の作業に対する妨害感を被験者に求めた。これらの実験で得られた結果から、音の妨害感や被験者の注意の向きなどに関して、音刺激の妨害感と生体反応に及ぼす影響を考察した。以上より、(1)聴覚刺激の発生パターンが作業に対する妨害感に影響を及ぼし、音の発生の予測が可能である場合、注意が刺激に向くことで作業への集中力が低下すること、(2)単純加算作業では、妨害感が大きく評価され、注意が聴覚刺激に向いている場合でも、その影響は作業量に反映されず、作業量は低下しないこと、(3)Fmθ電位の減少が大きくなると妨害感は増加し、電位変動は聴覚刺激の発生パターンと呈示レベルの影響を受けること、(4)精神作業の妨害感はその作業への注意集中と関係があり、注意集中の低下が妨害感の発生要因であることが示唆された。 一方、病院調査について、平成18年度は日本の病院において、ドイツと同様の実態調査を行った。その測定項目は、(1)音環境の24時間連続調査、(2)起床時刻から消灯時刻までの音環境の調査、(3)特殊な騒音源の個別測定、(4)患者及び看護師に対するアンケート調査である。これらの調査により、日本の病院環境の実態の把握及び病院のPOE手法に関する検討を行った。その結果、(1)騒音の時間変動では、起床時刻前から朝食時間にかけてレベルが上昇し、夕食から消灯時刻の問に下降すること、(2)病棟の主な騒音源は、会話、医師や看護師の作業音、配膳車の音であること、(3)ナースステーションにおける騒音レベルは同じ病棟内の他の場所よりも5dB程度高いことが示された。 また、本年度には、平成17年度及び18年度に実施した研究結果をとりまとめ、2007年12月に開催された国際会議(Inter-noise2006)において発表した。
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Research Products
(4 results)