2006 Fiscal Year Annual Research Report
建築の長寿命化と地方都市の活性化のための閉鎖されたホテルの有効利用手法
Project/Area Number |
17560547
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
高井 宏之 三重大学, 大学院工学研究科, 助教授 (00324541)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 秀一 独立行政法人建築研究所, 住宅・都市研究グループ, 主任研究員 (10360463)
|
Keywords | ホテル / 長寿命化 / 有効利用 / 再利用 / 用途変更 / コンバージョン / 遊休化 / 建替え |
Research Abstract |
昨年度は前半、閉鎖されたホテルのビル所有者等に対し質問紙による郵送調査を実施した。また後半、この調査への協力者の中から代表的事例または有益な事例を選定し、ヒアリング調査(9事例)を実施した。 本年度は上記ヒアリング調査を引き続き行い、昨年度実施分と併せて、ホテル再生6事例、用途変更8事例、遊休化3事例、更地4事例、建替え1事例、計22事例となった。依頼先の協力がなかなか得られず目標事例数をやや下回ったが、代表的事例については概ねカバーできている。かつ先方の都合で本年度内に実施できなかった事例がこれら以外に数件あり、引き続き依頼予定である。郵送調査の結果も踏まえ、現時点で得られた知見を提言の形で整理すると次の通りである。 『既存ホテル』の有効利用の方策としては、ホテル再生や用途変更に向けて、従前の料飲宴会部門と宿泊部門の空間形態を従後の新ホテルや新用途の計画に活かすことが基本であるが、用途複合や増築をも視野に入れること、及び当該建物・敷地だけではなく周辺をも巻き込んだ計画という発想などが有効利用の選択肢を拡げるという点で重要である。『新築ホテル』の有効利用可能性増大の方策としては、無理・無駄なく更新が可能な設備シャフトの計画やゆとりある階高の実現などが基本であるが、景気や市場ニーズの変化の中で余儀なくされるホテルの業態変更や、高速道路の整備や観光の海外シフトなどの社会環境に影響される立地特性の変化に今後とも対応できるよう、建物や敷地の一部に転用可能な空間を想定・計画することが重要である。更に今後の有効利用の道筋として、地域社会や住民との関わりを積極的にもつことが一つの鍵であると考えられる。 なお本年度の最後においては、上記を踏まえホテルの有効利用策を阻害する諸課題として特に法制度と空間利用方法に着目し、ホテル再生の条件・課題についてホテル経営会社とコンサルタント、高齢者福祉施設の用途変更の条件・課題についてコンサルタントにヒアリング調査を実施した。
|
Research Products
(2 results)